わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

本の旅

名著を読む 『折々のうた』(大岡 信著、岩波新書)

2020年11月10日 本箱を整理したら、手の届かない高い棚の奥の方から、普段あまり開くことのない、しかしうっかり捨てられない本が幾つか出てきました。『折々のうた』(岩波新書113)は、今から40年前の4月に、大学の恩師から送って頂いた本で…

こんな本読んだことありますか? 『100分de名著 坂口安吾 堕落論』(大久保喬樹著、NHK出版) [その3『日本文化私観』(坂口安吾著、青空文庫)]

2020年11月6日 『100分de名著 坂口安吾 堕落論』(大久保喬樹著、NHK出版)の第3回(NHK Eテレの放送第3回目で、第3章に相当)のタイトルは、「法隆寺より停車場を」という、これまた過激なものです。大久保喬樹さんの文章をそのまま引用します。 「…

こんな本読んだことありますか? 『100分de名著 坂口安吾 堕落論』(大久保喬樹著、NHK出版) [その2『続堕落論』(坂口安吾著、青空文庫)]

2020年11月5日 本文の口絵写真 大久保喬樹さんの 『100分de名著 坂口安吾 堕落論』(大久保喬樹著、NHK出版)では、『堕落論』から『続堕落論』に読み進み、さらに安吾の思想を深く解説していきます。「一人曠野(こうや)を行け」と題された第2回(…

こんな本読んだことありますか? 『100分de名著 坂口安吾 堕落論』(大久保喬樹著、NHK出版) [その1『堕落論』(坂口安吾著、青空文庫)]

2020年11月4日 これもNHKの朝ドラ『エール』の影響でしょうか。戦後すぐの日本の社会を書いた坂口安吾の作品を読みたくなりました。坂口安吾の多くの作品がインターネットの「青空文庫」に収録されているので、誰でも無料で読むことができます。 大久…

こんな本読んだことありますか? 『昭和を駆け抜ける』(林 忠彦著、クレヴィス)

2020年11月1日 今、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)「エール」が注目を集めています。作曲家古関裕而(こせきゆうじ)をモデルにしたドラマです。先月(10月)中旬には古関裕而(ドラマの中では古山裕一)が太平洋戦争中のビルマで遭遇した戦闘場面…

こんな本読んだことありますか? 『英語辞書の使いかた』(外山滋比古著、岩波ジュニア新書)

2020年10月30日 先ごろ亡くなられた英語学者 外山滋比古さん(名著『思考の整理学』の著者)が中学生・高校生向けに書いた英語の辞書についての本です。岩波ジュニア新書の中の一冊で1983年第1刷のかなり古い本ですが、私はこの本を本棚のすぐ…

ヨメナ(キク科・シオン属)

2020年10月28日 いわゆる野菊です。本州から九州にかけて広く分布するノコンギクや、関東以北の本州に分布するカントウヨメナ、近畿以北の本州に分布するユウガギクなど、よく似た花が他にもあり、まとめてヨメナと呼ばれることが多いようです。漢字…

ミズヒキ(タデ科・タデ属)

2020年10月22日 今日は久しぶりのスケッチ会(昨年12月以来)の予定だったのに、朝から冷たい雨が降るあいにくの天気。スケッチ会は延期となりました。昨日は岡山県で11人の新型コロナウイルス感染者の発表がありました。これまで、1日に一人か…

シュウメイギク(キンポウゲ科・イチリンソウ属)

2020年10月20日 先月(9月)ぐらいから庭にシュウメイギクが咲いています。シュウメイギクは漢字では秋明菊。私はなぜか長い間、シュウメイギクは秀名菊と書くのだろうと思い込んでいました。どちらにしてもきれいな名前です。キクと名付けられてい…

こんな本読んだことありますか? 『つかまえた』(田島征三著、偕成社)

2020年10月15日 NHKのEテレ「日曜美術館」で田島征三さんの特集を見ました。1940年生まれの絵本作家です。その中で紹介されていた最新の絵本『つかまえた』を読みました。読んだというより、絵をながめたというのが正しいと思います。NHKの番組…

こんな本読んだことありますか? 『汽車旅放浪記』(関川夏央著、新潮社)

2020年9月27日 一言で読後の印象を述べるとすれば、「鉄道と文学の両方の魅力をとらえた素晴らしい力作!」となります。鉄道ファンにも文学好きにも、どちらにも相当のインパクトがあるでしょう。 関川さんは1949年新潟県生まれ。私と同い年なの…

こんな本読んだことありますか? 『時刻表2万キロ』(宮脇俊三著、河出文庫)

2020年9月22日 鉄道ファンなら知らない人はいない、という宮脇俊三さんの本です。1980年6月初版、そして今年2020年6月22刷発行となっています。長い間、鉄道愛好者に読みつがれている本であることが分かります。 表紙を開くと、文庫本に…

こんな本読んだことありますか? 『汽車旅は地球の果てへ』(宮脇俊三著、文春文庫)

2020年9月13日 宮脇俊三さんの鉄道紀行本は、いつかゆっくり読んでみたいと思っていました。処女作『時刻表2万キロ』、第二作『最長片道切符の旅』は、このジャンルの名著と言われています。たまたま自宅の本棚に、買ったままで長い間読んでいなかっ…

こんな本読んだことありますか? 『空をみてますか・・・9 なつかしい街と人と』(池辺晋一郎著、新日本出版社)

2020年9月4日 著者の池辺晋一郎さんは日本の著名な作曲家の一人。NHKの日曜夜9時のEテレ音楽番組「N響アワー」に長くレギュラー出演しておられたので、お顔と話しぶりはよく覚えています。その池辺さんが書いたエッセイ。もうこれが9冊目だそうです…

名著を読む 『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(ファインマン著、大貫昌子訳、岩波現代文庫)(そのII)

2020年8月28日 「僕は自分が学生だったころの彼の講義の様子をいまだにまざまざと思いだす。教室正面に立った彼は、入ってくる学生に笑顔を向けながら、教壇代わりに横長く据えられた黒い実験台を指でたたいて複雑なリズムを打ちだしている。少し遅れ…

名著を読む 『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(R.P. ファインマン著、大貫昌子訳、岩波現代文庫)(そのI)

2020年8月27日 本書は、長年、岩波現代文庫のベストセラーに選ばれ続け、今でもランキング上位の常連となっている本で、1965年ノーベル物理学賞受賞者リチャード・ファインマン教授(1918〜1988)の自伝的随筆です。 大学の理系学部に入…

名著を読む 『思考の整理学』(外山滋比古著、ちくま文庫)(そのIV)

2020年8月14日 『思考の整理学』の残り4分の1。第5部と6部です。ここまで読んできた感想として、普通のハウツー本とあまりかわりないなあ、と思う人も中にはいるかもしれません。しかし、この本で外山さんが力を入れているのは、この残りの部分、…

名著を読む 『思考の整理学』(外山滋比古著、ちくま文庫)(そのIII)

2020年8月12日 『思考の整理学』の第3部と4部を紹介します。第3部では、(論文を書く上での)さまざまな情報を得るやり方について書かれています。「スクラップ」、「カード・ノート」、「つんどく法」、「手帖とノート」、「メタ・ノート」の各章…

名著を読む 『思考の整理学』(外山滋比古著、ちくま文庫)(そのII)

2020年8月10日 『思考の整理学』の2部は「醗酵」という章で始まります。研究のやり方(多分、大学の文学部英文科の卒業研究が念頭に置かれています)の大事なポイントが示されます。現役の大学生にとっては参考になる箇所でしょう(以下の「 」内は…

名著を読む 『思考の整理学』(外山滋比古著、ちくま文庫)(そのI)

2020年8月8日 8月6日広島の原爆記念日には、このところ続いた小説読みに飽きて、前日から、久しぶりにちょっと気分転換したいと『思考の整理学』を読み始め、夕方には残り数ページのところまで来ていました。一日浸った読書に疲れて、タブレットで何…

名著を読む 『赤毛のアン』(ルーシー・モンゴメリ著、村岡花子訳、新潮文庫)、『100分de名著 モンゴメリ 赤毛のアン』(茂木健一郎著、NHK出版)

2020年8月1日 まず最初に読んだのが茂木健一郎さんの『100分de名著 モンゴメリ 赤毛のアン』。「はじめに」の大きな見出しが、「男子も読もう、赤毛のアン」。そうなんです。私は『赤毛のアン』は女子学生の読む本だと思い込んでいて、いままでこの歳…

この本もう読みましたか?  『異邦人』(アルベール・カミュ著、窪田啓作訳、新潮文庫)

2020年7月27日 カミュの『ペスト』に引き続いて『異邦人』を読みました。カミュは1942年に処女作『異邦人』を、そして1947年に『ペスト』を刊行しています。『異邦人』は発表後すぐに評判となり、1940年以降フランス文壇の最大傑作と当時…

この本もう読みましたか?  『ペスト』(アルベール・カミュ著、宮崎嶺雄訳、新潮文庫)、 『100分de名著 アルベール・カミュ ペスト』(中条省平著、NHK出版)

2020年7月25日 新型コロナウイルスが世界的に流行する中で、1947年に発表されたカミュの『ペスト』がいま広く読まれているようです。過去のヨーロッパでのペスト流行を扱うパニック小説かと思いきや、意外にも疫病流行の下での様々な人物の行動や…

こんな本読んだことありますか?  『電池が起こすエネルギー革命』(吉野 彰著、NHK出版)

2020年7月12日 NHKカルチャーラジオ「科学と人間」のシリーズの中の1冊です。我が家では10年前に家の屋根に太陽光発電パネルを設置しました。自家発電して余った電気は電力会社に売っていますが、その売電価格が10年間の優遇期間を過ぎた昨年11月か…

こんな本読んだことありますか?  『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎著、光文社新書)

2020年6月16日 若い昆虫生態学者、前野ウルド浩太郎さんのアフリカでの研究奮闘記です。前野さんの研究テーマはアフリカで大発生するサバクトビバッタの生態。アフリカのモーリタニアでの研究の様子が生き生きとした筆致で描かれています。大学院博士…

この本もう読みましたか?  『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』(谷崎潤一郎著、中公文庫)

2020年6月8日 時間があると、ぼーっと本棚の前に座って本棚を隅から隅まで眺める。部屋の本棚にじっと並んでいる単行本、文庫本、大型本の背表紙が、時々自分に語りかけてくるような気がする。それで、そっと本を取り出して、ページをめくる。 これが…

この本もう読みましたか?  『雪沼とその周辺』(堀江敏幸著、新潮文庫)

雪沼を水彩画で描いたらどんな町だろう。山間の農家が点在する県道沿いの町かな。その周辺にはある程度開けた川沿いの町並みもあるのだろうか。これまで私が描いてきた沢山の田舎の町や村の中に、その雪沼が実際にありそうな気がします。 作者は堀江敏幸。19…

この本もう読みましたか?  『楽園のカンヴァス』(原田マハ著、新潮文庫)

2020年5月22日 文庫本の表紙カバーは有名なアンリ・ルソーの「夢」。ルソーが1910年にアンデパンダン展に出品した油彩画で、ニューヨーク近代美術館所蔵の作品です。ルソーはこの作品を出した年の夏の終わりに66歳で死去。これはルソー最後の作…

こんな本読んだことありますか?   『吾輩も猫である』(赤川次郎、新井素子、石井衣良、荻原 浩、恩田 陸、原田マハ、村山由佳、山内マリコ著、新潮文庫)

2020年5月16日 裏表紙カバーの「内容紹介」によると、夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版だそうです。猫好き作家8名が漱石の「猫」に挑む!とあります。2018年新潮文庫の100冊に選ばれました。 どの作品も猫に対する愛情にあふれて…

こんな本読んだことありますか?   『ボートの三人男』(ジェローム・K ・ジェローム著、丸谷才一訳、中公文庫)

2020年5月11日 新型コロナで気持ちが沈みがちな毎日。ちょっと笑ってホッとするような小説は無いかと、ネットで検索していたら、この『ボートの三人男』に行き当たりました。世界で愛読されている英国のユーモア小説の古典、とあるので、よしこれを読…