わたしの水彩スケッチと読書の旅

知の冒険? いえいえ、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 『昭和を駆け抜ける』(林 忠彦著、クレヴィス)

2020年11月1日

 

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今、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)「エール」が注目を集めています。作曲家古関裕而(こせきゆうじ)をモデルにしたドラマです。先月(10月)中旬には古関裕而(ドラマの中では古山裕一)が太平洋戦争中のビルマで遭遇した戦闘場面がリアルに描かれ、視聴者にかなりのショックを与えました。そして昭和20年8月15日に迎えた終戦。空襲で焼けた東京や闇市に集まる人達の姿が、今「エール」の中で描かれています。これまで朝ドラなどでは余り取り上げられなかった戦後日本の都市や地方の人々の生活がこのドラマの中は再現され、観ている私達も75年前の日本に引き戻されたような感覚になります。

 

戦争を再び起こさないためには、過去の戦争の歴史を一人ひとりがきちんと検証する必要があります。そのためのわかりやすい材料になるのが、当時記録された写真やフィルム類です。この写真集『昭和を駆け抜ける』は、著者の写真家・林 忠彦の「写真ほどリアルに後世に残るものはない」の言葉どおり、戦中・戦後の日本のありのままの姿を私達に切り取って見せてくれます。

 

林 忠彦(1918〜90)は山口県徳山市(現・周南市)出身の写真家です。NHK日曜美術館で林 忠彦の特集を観て、思い切って周南市美術博物館に出かけ、林 忠彦記念室で彼の作品を鑑賞しました。その時、記念に買ったのが、この写真集『昭和を駆け抜ける』でした。

 

第1部 カストリ時代 — 焼け跡からの復興、第2部 戦時下の日本 — 時代の貴重な記録、第3部 AMERICA 1955、 第4部 日本の顔 — 作家・画家・家元、 第5部 歴史の舞台 — 風景に人の生きざまを、 第6部 茶室と五百羅漢 — 絶妙の林流写真術、第7部 東海道 — 命と競争して完走、の全7部構成です。どの写真もどの写真も、当時の日本を記録する貴重なものです。

 

写真も、絵も、そして文章も、それぞれに歴史を語る力があると思います。写真家、画家、作家は、やはり皆それぞれが生きた時代を切り取って、後に続く人々にその時代の現実を伝える使命があると思います。私は主に日本の地方の風景を水彩でスケッチしていますが、この写真集を見て、単に美しいから描くのではなく、できれば林忠彦さんのように、「時代を伝える」という意志があらわれたスケッチを残したいものだと強く感じました。