わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

本の旅

こんな本読んだことありますか? 『比類なきジーヴス』(P・G・ウッドハウス著、森村たまき訳、国書刊行会)

2021年3月21日 ユーモア小説を読みたくてもなかなかそのものズバリに行き当たらない私が、今回読んだ本がこの『比類なきジーヴス』です。タイトルがちょっと変わっています。どんな本だろうと手に取ると、イギリスユーモア小説の傑作であるとの評価が…

こんな本読んだことありますか? 『海を撃つ』(安東量子著、みすず書房)

2021年3月17日 この本を読むきっかけは、著者の安東量子さんが出演したNHK Eテレ(日曜日朝5時)を見たことでした。安東さんは、福島の原発事故を体験し、事故に振り回されたその後の福島の人々の暮らしを記録に残そうと、本業の植木屋の仕事のかた…

こんな本読んだことありますか? 『平山郁夫 私のスケッチ技法』(平山郁夫著、村木 明解説、実業之日本社)

2021年3月9日 日本画家・平山郁夫さんのスケッチ画集です。のびのびとした風景スケッチ。おだやかな人物スケッチ。世界各地の仏像や遺跡のスケッチ。平山作品(日本画の大作)のもとになった多くのスケッチが収められています。平山さんの自分の絵につ…

コブシの咲き始めた日 作家小沢信男さんの訃報。 そして『俳句世がたり』(小沢信男著、岩波新書)再読

2021年3月7日 今年はずいぶん早く庭のコブシ(モクレン科・モクレン属)の花が咲き始めました。今日はニュースで、作家の小沢信男さんがこの3月3日に93歳で死去されたことを知りました。小沢さんの代表作は、画家山下清の評伝『裸の大将一代記』で…

こんな本読んだことありますか? 『街道をゆく 11 肥前の諸街道』(司馬遼太郎著、朝日文庫)

2021年2月27日 こんなに暖かく春めいた陽気になると、さすがにどこか旅に出たくなります。新型コロナ禍で旅が自由に出来ない今は、尚更その気持が大きくなります。さて、もしコロナが終わったら行ってみたいところはどこか・・・。行きたいところは山…

こんな本読んだことありますか? 『大家さんと僕』(矢部太郎著、新潮社)

2021年2月21日 2017年発行で2018年のベストセラーになった本です。ネットの情報によると著者の矢部太郎さんはお笑いタレントで漫画家。吉本興業所属で1977年生まれの現在43歳です。テレビでバラエティ番組をほとんど見ない私としては、はじめて出会う…

こんな本読んだことありますか? 『アメリカ素描』(司馬遼太郎著、新潮文庫)

2021年2月20日 平成元年発行ですから、もう約30年前の、ひと昔もふた昔も前のアメリカ旅行記です。この本は紀行文というよりアメリカの歴史・文化論的な内容です。どんどん急速に姿を変える現代アメリカを知りたい読者にとっては、内容が古臭くて満…

こんな本読んだことありますか? 『ボローニャ紀行』(井上ひさし著、文芸春秋)

2021年2月14日 ボローニャ。イタリア北部の人口約39万人の古い街で、ヨーロッパで最古の大学であるボローニャ大学がある街として有名です。著者は2003年12月の初旬にこの地を訪れて、この『ボローニャ紀行』を書きました。 読み始めるまでは、ボロー…

こんな本読んだことありますか? 『宮沢賢治全集 I「春と修羅」、「春と修羅」補遺、「春と修羅 第二集」』(ちくま文庫)

2021年2月11日 宮沢賢治の詩集「春と修羅」の一部を読みました。これを読もうとしたきっかけは、朝日新聞の鷲田清一さんの連載コラム「折々のことば」を読んだからです(以下朝日新聞2021年1月26日版より引用)。 「うまれてくるたて こんどは…

こんな本読んだことありますか? 『父の詫び状』(向田邦子著、文春文庫)

2021年2月8日 先週月曜日から96歳の母が耳の痛みと頭痛を訴えるので、近くの内科医院と耳の治療をしてもらっている耳鼻咽喉科に連れて行きました。内科的には心臓も肺も血液検査の結果も異常なし。頭痛の98%は頭蓋骨の周りの筋肉痛によるもので、…

こんな本読んだことありますか? 『空洞のなかみ』(松重 豊著、毎日新聞出版)

2021年2月5日 申し訳ないのですが、普段映画や演劇をあまり見ない私は、俳優である著者の名前を見てもどんな人なのかまるで分かりませんでした。テレビでもドラマやバラエティ番組を見ることがほとんど無いので、この俳優さんに心当たりがありませんで…

こんな本読んだことありますか? 『里の時間』(芥川 仁、阿部直美著、岩波新書)

2021年2月2日 地方の生活に憧れる。農業に憧れる。新型コロナ禍の時代に、東京など都会を離れて地方を目指す人も出始めました。地方で農業で暮らす人たちに対しては、誰でも少なからず関心があると思います。テレビでも、各地の農産物を使ったおいしい…

こんな本読んだことありますか? 『100分de名著 谷崎潤一郎 スペシャル』(島田雅彦著、NHK出版)、『知人の愛』、『吉野葛』、『春琴抄』、『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎著、青空文庫)

2021年1月30日 今日紹介するのは、NHKテキスト『100分de名著 谷崎潤一郎 スペシャル』(島田雅彦著、NHK出版)です。島田雅彦さんの興味深い解説が谷崎潤一郎という人物を深く捉え、私達の前に見せてくれます。今回このテキストを読み、それに刺激…

こんな本読んだことありますか? 『絵のある人生 — 見る楽しみ、描く喜び — 』(安野光雅著、岩波新書)

2021年1月27日 先日亡くなられた安野光雅さんを偲んで、『絵のある人生』をもう一度読んでみました。安野さんは1926年島根県津和野市生まれ。宇部工業学校卒業後、山口県徳山市で小学校教員。山口師範学校研究科終了後、1949年に上京し三鷹市…

こんな本読んだことありますか? 『わたしの献立日記』(沢村貞子著、新潮文庫)

2021年1月23日 明治末の生まれで、大正、昭和、平成と生きて活躍した女優・エッセイストの沢村貞子さんの本(名著)です。この人の文章はやさしく、やわらかく、わかりやすい。文章の専門家からもしばしば絶賛される文章です。 最初の本文まえがきに…

こんな本読んだことありますか? 『在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活』(荒木優太 編著、明石書店)

2021年1月21日 この本の帯に、「在野の研究者に資格はいらない。卒業後も退職後も、いつだって学問はできる!」とあります。その通りです。やる気があれば、そして続ける体力と持続力があれば、別に大学にいなくても研究はできます。そんな在野研究の…

こんな本読んだことありますか? 『羊の歌 —わが回想—』(加藤周一著、岩波新書)

2021年1月18日 本棚を整理していて、普段手がとどかない場所に古い新書を見つけました。自分で買った本に間違いないのですが、内容も、いつ読んだのかも記憶にありませんでした。表紙も、中のページも紙が全体に茶色に変色していました。加藤周一著『…

よかったら読んでみてください 『わたしの水彩スケッチ日本紀行6』(リーブル出版)

2021年1月15日 今日、私の自費出版本が出版されました。シリーズの6巻目で、約3年ぶりです。タイトルの通り、日本国内のスケッチ旅の記録です。新型コロナウイルス感染症の流行拡大で、すでに昨年の春からスケッチ活動は全面停止していますので、多…

こんな本読んだことありますか? 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著、新潮文庫)

2021年1月12日 昨年読んだ本の中で、この冬もう一度ゆっくり読み直したいのが本著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』です。50年以上前に受けた高校日本史の授業では日本近代史を学ぶ機会はありませんでした。今の高校でも似たような状況でしょ…

こんな本読んだことありますか? 『いわずにおれない』(まど・みちお著、集英社be文庫)

2021年1月9日 まど・みちおさんは、山口県徳山市(現・周南市)生まれの詩人(1909年—2014年、104歳で死去)。「ぞうさん ぞうさん おはながながいのね」、「しろやぎさんから おてがみついた」、「1ねんせいになったら」などの童謡の作詞者として有…

こんな本読んだことありますか? 『センス・オブ・ワンダー (The Sense of Wonder)』(レイチェル・カーソン著・上遠恵子訳、新潮社)

2021年1月6日 わずか60ページほどの小型の本です。著者のレイチェル・カーソンは、アメリカの海洋生物学者・作家で、有名な『沈黙の春(Silent Spring)』を書いた人です。『沈黙の春』は化学薬品による環境破壊を告発した書として、出版(1962…

こんな本読んだことありますか? 『ひとり旅は楽し』(池内 紀著、中公新書) (その3)

2021年1月3日 『ひとり旅は楽し』の第I部と第II部では、池内さんのひとり旅へのこだわりのようなものが分かりましたが、後半の第III部から第VI部では、そのこだわりが更に鮮明になります。ひとり旅では、道に迷う、電車に遅れるなど、時にパニック寸前…

こんな本読んだことありますか? 『ひとり旅は楽し』(池内 紀著、中公新書) (その2)

2021年1月2日 「出かける前 — まえがきにかえて」では、「ひとり旅には手本がある」として若山牧水、山下清、寅さんを例に上げて、それぞれの旅人が自分の旅のスタイルをもっていたことを説明しています。それは、旅に必要なはきものや持ち物に限る話で…

こんな本読んだことありますか? 『ひとり旅は楽し』(池内 紀著、中公新書) (その1)

2021年1月1日 新型コロナの世界的流行で、遠くへ出かける旅が「不可能」なものになって早くも1年近くになろうとしています。仕方がないので、本の中で旅をすることで、しばし旅行気分に浸ることにしました。読んだ本は昨年8月に78歳で亡くなったド…

こんな本読んだことありますか? 「いい猫(こ)だね」(岩合光昭著、ヤマケイ新書)

2020年12月29日 動物写真家 岩合光昭(いわごうみつあき)さんが主に旅先で出会った猫50匹を撮った写真とエッセイをまとめた本です。岩合さんは1950年東京生まれで私と同じ世代。猫の写真集や猫カレンダーで今人気の写真家です。NHKテレビ BS…

こんな本読んだことありますか? 「カラスは飼えるか」(松原 始著、新潮社)

2020年12月28日 カラスには朝の散歩道でよく出会います。山裾の林の中で、集団でカアカア、ガアガアと大きな声で鳴いていますし、ゴミの収集日には、ゴミステーションの周りに集まって来てゴミ袋を破って中身を食い散らかすので、住民からは嫌がられ…

こんな本、普段使ってますか? 「NHK テキスト きょうの料理ビギナーズ」(NHK出版)

2020年12月18日 コロナ禍で、家庭で料理をする機会が増えています。普段、料理をあまりやらない男性でも簡単に作れるメニューが載っているのがこのNHKテキスト。私は2016年10月号「しみじみおいしい秋の和食」という特集号を4年前にたまたま…

こんな本読んだことありますか? 『「読む」って、どんなこと?』(高橋源一郎著、NHK出版)

2020年12月17日 NHK 出版の「学びのきほん」シリーズの1冊です。120ページ足らずの小冊子。しかも大きめの活字で印刷してあるので2時間もあれば読めます。短時間で読めるのですが、中身はかなり濃い。表紙の下の方に小さな字で、『「わたし」の…

こんな本読んだことありますか? 『文房具56話』(串田孫一著、ちくま文庫)

2020年11月19日 文房具については、誰でも、昔の子供の頃に使ったノートの思い出や、現在使っている文具に対する愛着があります。串田孫一氏は1915年(大正4年)生まれ2005年(平成17年)没の文筆家。『山のパンセ』などのエッセイで有名です。こ…

こんな本読んだことありますか? 「印象派の水辺」(赤瀬川原平著、「赤瀬川原平の名画探検シリーズ」、講談社)

2020年11月17日 思えばこの本には随分お世話になりました。これまで「美術書を読みたい」と思った時に何度開いてみたことか。モネ、シスレー、ピサロ、ルノワール、マネ。中でも、モネとシスレーの絵が多いです。この本のお蔭で、モネとシスレーの絵…