わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 『在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活』(荒木優太 編著、明石書店)

2021年1月21日

 

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この本の帯に、「在野の研究者に資格はいらない。卒業後も退職後も、いつだって学問はできる!」とあります。その通りです。やる気があれば、そして続ける体力と持続力があれば、別に大学にいなくても研究はできます。そんな在野研究の強い意志を、15人の研究者が披露してくれます。その殆どが1970年〜90年代生まれの比較的若い人たちです。

 

とは言っても、大学から離れて在野で研究生活を続けるのは容易ではありません。資金もない。時間もない。一人ひとり違う条件下で在野の研究者を目指す。そんな経験を、これから在野研究を志す人達(ビギナーズ)に伝えようとしています。悩みも挫折も成功の喜びも達成感も、同時に伝わってきます。皆に共通しているのは、研究成果を論文で発表することの難しさでしょう。文章力は日本語でも英語でも鍛えなければなりません。

 

私自身も現役時代は大学の理系研究者でした。その時学んだことは、いったん始めた研究は長く続けることと、自分がやったことは何でも記録(論文)に残すこと。せっかく時間とお金をかけて取り組んだことなので、それをあとに残すのは研究者の義務です。実際に研究者は最終的には論文で評価されます。もう退職して7年が経とうとしていますが、退職後新しく始めた趣味の水彩画も、自分にとっては一つの新しいプロジェクト。「在野研究」と同じです。プロの画家にはとてもなれませんが、意識しているのはアマチュアなりに自分の活動を形に残すことです。このブログはまさにその作業の一環です。ブログの記事をまとめて自費出版もしました。この出版で間違いなく世界が広がりました。

 

本書を読むと、若い研究者の研究への意気込みが感じられます。自分の好きな研究をするのに別に大学にいる必要は無いのです。退職した高齢者でも研究は出来ます。自分のペースで自分のやりたいテーマで、図書館資料やインターネット資料に頼りながら、自分の足で調べていく。本書の巻末には、各著者の推薦する図書のリストが解説つきで出ていて、これも参考になります。本書には在野研究をやる上での多くのヒントが書かれています。