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NHK WEBニュース 「多数の隕石衝突は44億年前か 地球の歴史見直しも 広島大など」(2020年9月5日) を読んで

2020年9月9日

 

地球誕生後の隕石衝突のニュース。地球の進化と地球上の生命の進化を考える上で、重要なニュースに思えます。

 

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原始地球への隕石衝突(模式図)

 

地球の誕生は今から約46億年前です。この数字は科学者の間でほぼ確定しています。これがどうやって分かったんだろう? とても不思議ですが、実は地球だけ見ていたのでは(地球の状態が長い間に原形をとどめないほど大きく変わってしまったので)この(46億年という)数字は決められません。地球とほぼ同時期に出来たと思われる月や、隕石の分析がとても大事でした。特にアメリカのアポロ11号による月面探査は地球の誕生と進化の研究に決定的な意味を持っていました。この辺りのことが、「新版地球進化論」(松井孝典著、岩波現代文庫)に分かりやすく解説されています。

 

 

yaswatercolor.hatenablog.com

 

太陽系では、沢山の微惑星同士が衝突して合体(溶融)が繰り返されて(前期重爆撃期とよばれます)次第に大きな惑星ができました。そのようにして出来た地球(原始地球)では微惑星が次々と衝突して、表面は1000℃以上の高温のマグマで覆われ、「マグマの海」状態だったと考えられています。やがて、時間をかけて地球が冷え始めて地殻が形成され、大気中の水蒸気が雨となって地上に降リ注いで、それが地上の凹地にたまって海ができました。今から40億年前のことです。その頃、海の中で、最初の生命が誕生したと言われています。一般に、生命の誕生の場所としてはこれまで海中の熱水噴出孔付近が最も有力視されてきました。高い水圧、高温の条件下で、メタン(CH4)・硫化水素(H2S)・水素(H2)・アンモニア(NH3)などが付近にあって、アミノ酸など、生物を構成する有機物が合成されやすいからです。

 

一方、その頃の原始地球では、地球誕生後に地上に大量に隕石が降り注いだ時期がありました。

 

(以下、NHK WEBニュース原文のまま)

「太陽系の形成される中で、地球や月などに多量の隕石が降り注いだとされる「後期重爆撃期」と呼ばれる時期がありますが、これまでは月のクレーターの分析から生命が誕生した直後のおよそ39億年前と推定され、生命がどのようにして生き残ったのかなどの研究が行われています。

 

広島大学の小池みずほ助教などの研究グループは、「後期重爆撃期」に衝突のあったと考えられる小惑星からきた隕石の元素を最新の分析方法で測定しました。

 

その結果、衝突が起きた時期はおよそ44億年前から41億年前となり、「後期重爆撃期」は、これまで考えられていたより2億年から5億年ほど古い可能性があると公表しました。」(ここまで、ニュース原文のまま)

 

もし、地球上で生命が生まれた後にこの「後期重爆撃期」が来ると、地球環境は多大な影響を受けるので、せっかく誕生した生物もその生存が難しくなります。一方、今回の広島大グループの発表のように、生物誕生以前にこの「後期重爆撃期」が終わっていれば、その後の生物誕生と進化は容易になると考えられます。

 

これに関連して、最近の東北大などの研究が興味を引きます(以下、「隕石衝突」でアミノ酸生成(2020年6月11日朝日新聞)の記事を引用)。

 

「約40億年前の地球にあった二酸化炭素と窒素、水、鉄に秒速1キロの超高速で金属をぶつけることで、生命誕生に欠かせないアミノ酸をつくることに東北大などの研究チームが成功した。太古の地球に隕石が衝突して生命が生まれたとする仮説を強める結果という。(中略)

 隕石の衝突を模した実験は過去にもアミノ酸ができた例があったが、太古にわずかしかなかったアンモニアなどを材料にしていた。今回はありふれた材料からグリシンとアラニンという2種類のアミノ酸ができており、隕石の高温・高圧で化学反応が進むことを初めて示せたという。

 東北大の古川善博准教授(地球化学)らは、二酸化炭素と窒素などを容器に入れて太古の地球を再現し、別の金属片をぶつけて衝撃を与えた。約40億年前は、前後2億年ほどの間に大量の隕石が降り注いだと考えられている。古川さんは『この時に生命の材料が大量に生成され、生命誕生のきっかけになったかもしてない』と話した」

 

つまり、これらの知見をもとに、その頃の地球上での出来事をまとめて時間軸上で考えると、

  • 46億年前 地球誕生(微惑星が衝突する「前期重爆撃期」を経て)
  • 44〜41億年前 大量の隕石が降り注ぐ「後期重爆撃期」
  • 隕石の衝突で、生命誕生のための材料が大量に作られる
  • 40億年前 海の形成と生命誕生

 

となる可能性があります。そうなると、当時、海中の熱水噴出孔付近だけでなく、地球上のどこででも生命の誕生する可能性があったのかもしれません(私は専門家ではないので詳しくはわかりません)。

 

現在の地球上の水は、氷でおおわれた微惑星の衝突がもたらしたという研究もあります(これが驚きです)。また、大量のリンが隕石衝突でもたらされ、生物の発展・多様化に寄与したという研究もあります(2020年7月阪大グループ)。どにかく、微惑星や隕石の衝突が生命の誕生・進化に必須のことだったようです。この分野の研究はとても面白いです。研究のさらなる進展を期待したいです。