わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

描いて伝えたい美しい高梁川(たかはしがわ)流域

2018年7月

このたびの西日本豪雨で大きな被害を出した一級河川高梁川の流域は、その美しい景観と歴史で知られています。高梁川の源流に近い新見市中流域の高梁市総社市。そして北から流れてきた急流の高梁川下流付近で西からゆったりと合流する小田川。江戸時代には、備前岡山の城下を出て旧山陽道を西に進むと総社を経て高梁川にぶつかり、それを舟で渡って川辺宿、真備へと至りました。そして小田川沿いに伸びる街道を更に西に進むと宿場町の矢掛です。これらのいずれの地区も今回の豪雨で甚大な被害を受け、本当に心が痛みます。
 
高梁川流域は、古くから中国山地で産出した砂鉄を使ったたたら製鉄が行われ、また吉備では6世紀後半からこの地で産出した鉄鉱石を使った製鉄が行われて、吉備文化圏を支えました。総社市岡山市には大和に次ぐ規模の巨大前方後円墳(造山古墳など)があります。また倉敷市真備は奈良時代遣唐使であった吉備真備ゆかりの地として知られています。高梁川を挟んで真備の東に位置する総社市には室町時代水墨画雪舟が修業時代に涙でねずみの絵を描いたことで有名な宝福寺があります。
 
高梁川流域は昔から水害が多発し、水害との戦いの歴史を刻んできました。過去の水害の歴史に学び、そして今回の水害を新たな教訓にして、この地域の素晴らしい景観や歴史遺産を再び人々に示せるまで復興する日が近いことを祈っています。私も引き続き水彩スケッチを通して、この地域の美しさを伝えたいと思います。


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 (「全日本鉄道旅行地図帳2016」  小学館 より)