わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

絵描きです 城のガイドじゃ ありません (岡山県高梁市 高梁キリスト教会堂 水彩スケッチ)

2017年5月


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JR伯備線に乗って備中高梁(びっちゅうたかはし)市に来ました。この町は最近、JR備中高梁駅に隣接してツタヤが運営する高梁市図書館が新設され注目されています。駅の改札(2階)を出るとそのすぐ左手にとてもきれいで魅力的な図書館の入口が見えます。モダンな建物で都会のデパートの入口のような雰囲気で、つい引き込まれて中に入ってしまいましたが、ここは確かに図書館です。しかし、普通の公営の図書館とは全く違いますね。入るといきなりコーヒーのスターバックスがあり、町の土産物売り場があり、観光案内所があり、ツタヤの本屋があり、えっ、いったいどこからが図書館なんだろうと不思議な気がします。しかし、今日はまず高梁の町でスケッチをして、それからあとで時間があればこの図書館を訪れることにして、ひとまずここを出ました。



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今日のスケッチポイントは高梁のキリスト教会堂です。明治の建築物で、岡山県では最も古い教会建築です。高梁市では、天空の城として有名になった備中松山城へ行く観光客がとても多いのですが、高梁の町の中には江戸時代の小堀遠州作の庭園が美しい頼久寺(らいきゅうじ)や武家屋敷、そして近くにはベンガラで栄えた鉱山の町吹屋があり、この辺りはとても見どころが多い所です。町のすぐ横を流れる高梁川の流れもきれいです。今日の天気は晴れ。かなり日差しが強い日でした。駅からゆっくり歩いて15分ほどで、目的地のキリスト教会堂に来ました。教会堂の前には紺屋川が流れ、このあたりは町の美観地区になっています。教会堂のよく見える場所をさがすと、あまり交通量の多くない十字路の脇の、強い日差しの当たる場所になってしまいました。仕方ありません。私がここに来た朝の9時半にはすでに交通整理の若い人が一人十字路に立っていて、時々通る満員の客を乗せた松山城行きの臨時バスや駐車場をさがす自家用車の誘導をしていました。この人にちょっと挨拶してからイーゼルを立ててスケッチ開始。



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しばらく快調に鉛筆のスケッチをしていましたが、直射日光の強いこと。ついこの間まで寒さに震えていたと思ったらこの暑さです。帽子を被って、透明サングラスをかけて、首に紫外線よけのタオルを巻いて、と暑さへの対策は万全なのですが、1時間半ほどでかなりバテてきました。まだ体が暑さ慣れしていないようです。それに、今日の誤算は、昼近くになってドンドン増える観光客。絵を描いている私の横で車を止めて松山城への道を聞く人が続出。歩いている人も「どの山が天守閣のある山ですか?」と聞いてきます。近くにいる交通整理の人は地元の人ではないらしく、ただバスとその他の車の交通整理をしているだけ。それでも一生懸命対応していましたが、こんなわけで私の出番もかなりありました。水彩紙のF6見開き、または2枚つなぎのスケッチでは普通3時間はかけるのですが、今日は暑さとこの「忙しさ」で2時間半でおしまい。お腹も減ったので、現場を後にして、駅の方へ向かいました。



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途中、駅の近くの商店街を通りましたが、これは典型的なシャッター商店街。スピーカーで流れている音楽がやたら元気な若者向けの音楽なだけに、通りの寂しさが一段と際立つ気がしました。この備中高梁市は、岡山県内では将来最も人口減少が危惧される自治体(消滅可能性自治体)であることが2、3年前に報告され、県民から驚きをもって受け止められました。今日、最後に訪れたJR備中高梁駅に隣接して出来た市の新しい図書館は、訪れる人もとても多くてそんな暗い雰囲気をはね返すような明るい活気に溢れていましたが、このような新しい施設を起爆剤にして、何とか人口減少を食い止める施策を市と県で考えて欲しいものです。定住促進のための新しい産業の開発は、口で言うのは簡単ですが、実際は難しいでしょうね。観光事業がこの地域の活性化には多分一番大事でしょうが、その場合、岡山、倉敷、福山、尾道などの山陽道の観光客を高梁川沿い、更には山陰地方に誘導できるように、新しい観光ルートの開発と既存の観光地の整備がもっと進められるといいと思います。この町のファンは意外と多いので、潜在的な「観光力」はかなり大きいはずです。



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ラングトン水彩紙 粗目 F6 2枚つなぎ

ぺんてる筆ペン

ウインザー・ニュートン固形水彩絵の具

所要時間:2時間30分