わたしの水彩スケッチと読書の旅

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西日本豪雨後のJR伯備線の旅

2018年8月9日

 
7月の西日本豪雨災害で長い間不通になっていたJR伯備線岡山県倉敷駅鳥取県伯耆大山駅138.4 km)が先週ようやく復旧しました。JR伯備線の特急やくもに乗って、松江市にある父と妹の墓参りに行きました。朝705分岡山発のやくも1号。早朝のせいもあって乗客はまばらでした。指定席もガラガラで1両に数人の乗客。JRは夏休みやお盆休みの利用客を期待しているのでしょうが、現実はかなり厳しいです。岡山県下の観光地は人出がどこも例年に比べて3割程度減少しています。水害の影響が観光面にもはっきり出ています。

 
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岡山駅を出て、山陽線で倉敷へ。そこから伯備線に入ります。倉敷から北へ。総社に向かう途中、進行方向の左手(西方向)に洪水を起こした高梁(たかはし)川の土手が目に入ってきます。この土手の向う側が今回の豪雨災害で多数の死者を出した倉敷市真備(まび)地区です。清音(きよね)駅、総社駅を通過し、備中高梁に向かうあたりから、高梁川の流れが車窓からよく見えるようになります。川原には流木やゴミが残ったままです。川原の樹木は押し流されるか、流されずに残ったものもすべて下流に向かってなぎ倒されています。豪雨の時の川の流れの凄まじさがよくわかります。沿線の家屋はところどころ2階屋の1階部分が全く無くなってガランとしています。水害で水に浸かって1階が使い物にならなくなったのでしょう。倒壊したままの家もあります。備中高梁駅を過ぎて列車は中国山地へ。備中川面(かわも)、鍾乳洞で有名な井倉、そして新見。この辺りも高梁川増水・氾濫の影響を受けています。白っぽい土砂が田んぼや道路を覆っています。進行方向の右手の、線路のすぐ山側には、土砂崩れを防ぐためにブルーシートをかぶせたところが何か所もありました。また、途中で列車が速度を急激に落とし、その間車両が不安定に左右に揺れる区間も。中国地方の土砂崩れで注目された花崗岩質のもろい山肌。花崗岩の風化した「まさ」とよばれる粒子状の砂に覆われた線路。災害時のJRの線路の維持は本当に大変ですね。

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県境のトンネルを抜けると川の流れがこれまでとは反対となり、日野川日本海に向けて流れ始めます。鳥取県の生山(しょうやま)、根雨(ねう)。鳥取県側は、今回は水害の被害をほとんど受けませんでした。雨水は大部分岡山県側に流れたようです。広い水田では水稲が青々と順調に育っています。そして日本海の海岸線に出て、伯耆大山(ほうきだいせん)、米子、そして今回の旅の目的地松江です。JR松江に着くと、ホームも駅も人がまばらでした。まだ復旧した伯備線を利用して山陰を訪れる観光客は少ないようです。やはりこの伯備線が山陰と山陽を結ぶ交通の大動脈で、これが動かないと山陰はなかば孤立状態になると感じました。日本海の海沿いを走る山陰本線は未電化区間や単線区間が多く距離も長いので(京都―下関間の673.8 kmは在来線では日本最長)かなり不便です。他の多くの山陽・山陰連絡線が災害で寸断されている今の状態では、物流や人の動きの面では、岡山、広島だけではなく、鳥取、島根も厳しい状態におかれますね。


今回の旅は車椅子の94歳の母親も一緒でした。JRの各駅では車椅子の乗り降りの際に駅の係員の皆さんにお世話になりました。JRのこのサービスはとても助かります。