わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

河岸の 古き家並みが 愛(いと)おしい (岡山県新見市 水彩スケッチ)

2015年5月

イメージ 1

 

岡山県の県北の町、新見市に来ました。JR伯備線新見駅までは岡山駅から特急で1時間。この町はJRの列車の車窓からよく眺めるのですが、下車したのは初めてでした。山陰に行くのによく乗る電車から高梁川沿いに古い家並みがきれいに続いているのが見えて、いつかここに降りてこの川沿いの風景を描きたいと思っていました。今回友人の花(フラワーアレンジメント)の展覧会が新見で行われるので、それに合わせてやって来ました。新見駅に朝9時に着いて、駅でもらった町の観光パンフレットを頼りに目的の場所まで歩行開始。駅前からから少し歩くとすぐに高梁川にぶつかり、その川沿いに古いビルや家並みが並んでいます。目的地の「見どころ」が多い御殿町はここから更に川沿いに15分ほど歩いた所でした。


イメージ 2

 

この道は交通量が少なく静かで大変歩きやすい道なのですが、目的の場所まではかなり距離を感じました。新見という町はこの高梁川にそって開けた城下町で、やけに長く町並みが伸びています。山が迫っているので、こういう風にしか町が発展できなかったわけですね。観光パンフレットによると、新見藩は江戸時代の元禄10年(1697年)に始まったのですが、当時はもう新しく城を作れない時代だったので藩主の御殿を作ってそれに代えたとあります。それでその御殿がある辺りが御殿町と呼ばれているわけです。30分ぐらいブラブラと川沿いの通りを歩いてやがて姫新線の踏切を渡ると、高梁川を横切る橋、江道橋に来ました。この橋から眺める古い家並みが素晴らしい! 何か時間を忘れたような超レトロな風景。「わあ!」と思わず声が出そうな風景でした。


イメージ 3


今日は花の展覧会の会場に行くバスが11時40分に新見駅を出るので、それまであと2時間ぐらいしかありません。F6SMサイズの水彩紙を持って来ていましたが、まずSMの小さな画面で大急ぎでこの風景を描くことにしました。橋を途中まで渡って、そこで立ってスケッチです。欄干にスケッチブックを置いて、左手で支えながらスケッチ。やや体勢が不安定ですが、そんなことを言っておられません。川面に映る古い家並みがきれいです。

 

色付けをする段になって、やはりこの姿勢では不安定なので地面にスケッチブックを置いてしゃがみこんでスケッチすることにしました。今日はイーゼルは重いので持って来ませんでした。その結果、まさに「道端の絵描き」になりました。またそのお陰か、橋を通る数少ない通行人の人達が立ち止まって絵を見てくれました。お母さんに連れられた小さな男の子、「絵を見ていいですか?」と近寄ってきました。興味津々で「お母さん、どうしたらこんな絵が描けるの?」とお母さんに聞いていました。中学2年生の女の子4人、一旦通り過ぎた後また引き返して絵を見てくれました。そして使っている画材や中学の美術の時間のことなど、一緒に楽しく話しました。


イメージ 4


約1時間でのその絵を仕上げ、それから急いで新見駅に引き返しバスに乗りました。バスに40分揺られて次第に山の奥に入って行きます。山奥といっても川沿いの明るい雰囲気の場所です。川はかなり細くなっていますが、これが高梁川です。つまり高梁川の源流に近い場所です。広いキャンプ場があって、そのすぐ前に友人の家がありました。花の展覧会は友人の古民家を会場にして開かれており、多くの人が訪れて盛況でした。お昼の弁当(地元の千屋牛を使った特製弁当)を頂いた後、帰りのバスが出る午後3時半まで約2時間、今度はF6の水彩紙に村の風景をスケッチしました。田んぼはもう田植えが終わっていました。

イメージ 5



スケッチをしていると、お父さん・お母さんに連れられてこの花の展覧会を見に来ていた新見市内の保育園に通う男の子が絵を見に来てくれました。この子も絵を描きたそうにしているので、SMサイズの水彩紙一枚をあげて絵を描いてもらいました。


イメージ 6

イメージ 7


将来漫画家になりたいというこの子が描いたのは猫の絵です。「おじちゃんの家にも猫がいてねえ。マルちゃんっていうんだよ」と言うと、「僕の友だちに丸山くんという人がいて、保育園の先生はマルちゃんと呼んでるよ」とその子。「わあ、本当!かわいいね」と私。この子の描いた猫も可愛い猫でした。子供の絵って素直で本当にいいですね。


イメージ 8

 

お父さんとお母さんは二人で何処かへ出かけていて、おばあちゃん(といっても私よりずっと若い人ですが)が展覧会の世話をしているので一緒にいるその男の子。時間がたっぷりあるその子と一緒に絵を描くという楽しい時間を過ごした後、私は再びバスに乗り新見駅に帰りました。午後少し天候が不安定になりかけましたが、気温20℃の涼しい快適な山村への旅でした。


イメージ 9




イメージ 10