わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

三つ巴(どもえ) 川が三本 入り乱れ (広島県三次(みよし)市 巴(ともえ)橋)

2018年3月


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初めて青春18きっぷを買い、JR三江(さんこう)線廃止を数日後に控えて鉄道ファンが大勢やって来る広島県三次に来ました。三江線には昨年秋に一度乗ったので、今回は三次駅ホームで列車の出発を見送ることにしました。今日のスケッチのモチーフは三次市を流れる川と橋と、出発前に決めていました。
 
山陽本線6:02岡山駅発の普通列車福山行き。さすがに朝これだけ早いと電車はガラガラです。7:01福山着。次は福塩線。初めて乗る路線です。7:18分福山発の3両編成ディーゼルカーで8:06府中着。府中は家具で有名な町です。府中で乗り換えて1両だけの列車で8:11府中発、9:58三次着。約4時間の旅となりました。福塩線では三江線をめざす中高年の人たちが目立ちました。皆、青春18きっぷを買って乗っているようです。
 
三次駅のホームで三江線の列車を見送りました。今日は特別の3両編成。しかし列車は超満員。押すな押すなの状態で、まるで通勤電車のようです。三次から江津(ごうつ)までは、途中の石見川本で1時間半ほどの休憩をはさんで約5時間の長旅になります。車内がこれだけ混んでいると車両にあるトイレに行くだけでも移動が大変。確か前に行った記憶では、途中下車の石見川本の駅のトイレも狭かったし、これだと中高年にとっては三江線ではなくて「惨慌線」になるかもしれません。

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三次駅を出て、市の観光案内所でレンタサイクルを借りました。4時間以内300円は安いです。案内所でもらった地図を見ながら三次のシンボルである巴(ともえ)橋の方向へ移動。電動自転車は快適です。5分ほどで巴橋のたもとに来ました。巴橋は馬洗川(ばせんがわ)にかかる赤いアーチ型鉄橋です。この辺りは江の川(ごうのかわ)の本流に馬洗川と西城川(さいじょうがわ)が流れ込む場所で、川霧が発生しやすく、そのため三次は「霧の町」として知られています。

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今日は初夏を思わせる青空と気温。暖かな日差しを浴びて、馬洗川と西城川が美しい。大きな川なのに、このあたりでは川は浅く、白波を立てて、どちらかというとサラサラとながれています。♪春の大川はサラサラ行くよ♪ という感じです。これが江の川に合流すると、深くとうとうと流れる大河になります。
3本の川が合流するので、この辺りは川の氾濫に見舞われやすいらしく、川の土手には危険水位をしめすラインと数字が大きく書かれています。確かに地図を見ると、三次という町は3本の川が作った扇状地の上に発達していて、大雨が降ると3本の川の水が溢れて町がすぐに水に洗われてしまいそうな地形に見えます。
 
街道をゆく 神戸・横浜散歩、芸備の道」(司馬遼太郎著)を読むと、三次の名前の由来、古代この地で盛んだった砂鉄採取とタタラ製鉄、三次盆地での古墳の多さと古代出雲文化の影響(島根の出雲文化も岡山の吉備文化も山で取れる砂鉄を使ったタタラ製鉄で成り立った文化です)、そして司馬さんのお得意の毛利氏の興隆と衰退を中心としたこの地域の中近世史、昔から数多くあった水害と、水と水蒸気のなかで生きてきた人々」などについて詳しく書かれています。実際ここに来てみると、司馬さんの書かれた三次という土地の歴史的な雰囲気がよく分かります。

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自転車で町をぐるっと一巡りして、また元の巴橋の所に帰って来ました。土手の下の方まで降りている広い道があったので、そこを下って巴橋を眺めると、アーチ型の橋の下の右奥に馬洗川、中央奥に西城川が見えることが分かりました。赤い橋を中心にダイナミックな構図の風景なので、描きたい描きたいという気持ちが一気に沸騰。なかば興奮状態になりました。こういうのはスケッチしていてもなかなかありません。集中してスケッチ2時間半。春の河原の雰囲気が描けたと思います。

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絵を描き終わって、三次の町に戻って土産物の買い物。名物「淡雪」。最近はあまり食べない懐かしいお菓子です。それといちご大福。三次駅に帰って自転車を返して、駅のコンビニで遅めの昼食のおにぎりを買い、列車の時間まで昼食と休憩。今日はお昼の時間がスケッチ時間とぶつかって、食堂をさがす時間はありませんでした。お土産は帰宅して家族といただき、とてもいい味だと喜ばれました。
 
青春18きっぷを初めて使ってみた感想。「行きはよいよい、帰りは怖い」です。今回、行きと帰りが同じ路線だったので帰りが長くて退屈し、疲れもあってずっと睡魔との戦い。若者なら長距離を乗りっぱなしで楽しいかもしれませんが、体力のない中高年にはかなり厳しいです。しかも間に3時間のスケッチ時間を入れるとなると、行き先にかなり制約がでます。しかし、1日どこに行ってもよくて乗り降り自由というのはとても魅力的です。結構近い所であちこちで短時間でスケッチしてまわる時などにはいいかもしれません。さあ、この切符の有効期限の4月10日まであと2週間。5枚の切符のうち、あと残り4枚。どこでどう使うか、考えるだけで楽しいです。


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ラングトン水彩紙 中目 F6見開き
青墨筆ペン
シュミンケ固形水彩絵の具
所要時間:2時間30分