わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

挑戦を 退けて笑う 京都かな (京都北山 スケッチ失敗歩き)

2017年5月


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簡単なスケッチの道具を持って日帰りの京都への旅に出ました。前夜、なるべく軽装でスケッチと思って入念な準備。そして今日、新幹線でJR京都駅に着いたのが午前11時。それから駅の食堂街で簡単な昼食を取って地下鉄で北大路駅へ。北大路のバスターミナルからバスで金閣寺へ向かいました。今日の予定のコースは、金閣寺龍安寺(りょうあんじ)、仁和寺(にんなじ)、そして妙心寺。時間の関係で、これらのお寺でそれぞれ30分の鉛筆と筆ペンのスケッチをして、あとは自宅で着色するという予定でした。「鉛筆の下書きから着彩まですべて現場でやる」というこれまでの自分のスタイルへの挑戦です。実はこれらのお寺に来るのはこれが初めて。京都には仕事で何度も来たことがあるのに、これらの有名なお寺を訪れる機会はこれまでありませんでした。


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まず金閣寺。バスを降りて金閣寺に向かう道は人また人。中国からの観光客が目立ちました。和服を来た女の子達があちこちにいるのですが、はっきり日本人と分かる和服姿の人は僅かで、殆どが中国語を話す和服の人。どこかで着付けをしてもらって、車やタクシーで金閣寺に押し寄せて来ているようです。中国人やその他の外国人にとっては地味で渋い銀閣寺より、まずは金キラにまばゆい金閣寺GO! なんでしょうね。私も初めて目にする金閣寺。「わあー! これは金ピカすぎで絵にならない!」。私の「自慢の?」自由な絵心がほとんど金縛り状態です。そして、絶え間なく続く人の列で、ちょっとスケッチブックを取り出して、という気分になりません。


早々とスケッチを諦めて、次の目的地である龍安寺へ。金閣寺から龍安寺を経て仁和寺への道は「きぬかけの道」と呼ばれています。その昔、宇多天皇が真夏に雪景色を見たいと衣笠山に白い絹の布をかけたという言い伝えからきているそうです。しかし、私の持っているガイドブックには「車が頻繁に通り、バスも通る道で、片側は山(衣笠山)だが、景色がいいというほどでもない。」と正直に書いてあります。
実際、この道は車の通行が多く、その車の横を自転車に乗った外国人観光客がフラフラ走っているので、見ていてかなりハラハラします。これは「きぬかけの道」ではなくて「命がけの道」です。京都では、交通量がとても多くて、狭い道でも車が遠慮なくスピードを出して走るのでヒヤリとすることがたびたびあります。静かな町のイメージの京都。この車の多さと騒音、何とかならないのでしょうか。


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龍安寺はちょっとホッとする雰囲気です。竜安寺前から龍安寺へのアプローチはとても雰囲気があり、絵心をそそられました。しかし、ここも金閣寺仁和寺と並んで世界遺産に登録され、とてもきれいに、そして厳しく管理されているので、ちょっとそこらに座ってスケッチをするという気軽な雰囲気ではありません。京都の神社やお寺では基本的に絵の具や筆洗いの水を使えないと聞いていますが、砂利や苔の道でイーゼルを立てるのはもちろんだめでしょうし、携帯椅子でさえ地面を痛めそうで使用がはばかられます。

その龍安寺の本殿に入ると、ここはとてもいい感じ。観光客は多いのですが、何か心が自然に落ち着く感じです。やがてすぐに有名な石庭が見える広い廊下へ。ここは静かに心を落ち着かせる場所なのでしょう。多数の外国人を含め皆さん神妙な顔で座って庭を眺めています。しかし、その静寂を破るように時々修学旅行の小学生や中学生が団体でやってきて、敷き詰められた白砂の所々に配置された大小の石の数を「1,2,3,…….10,11,12,13,…..」と数える大きな声。15まで数えないと気がすまない子供たち。まあ、それも子供らしくて自然でいいです。大人の私だって、小中学校の生徒につられて、目で石の数を数えていましたから……。ここで無の境地になるのはとても難しい。


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仁和寺。これは大きいお寺です。高校の古文で出てきた徒然草の第52段に仁和寺(にんなじ)にある法師、年寄るまで、石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩(かち)よりまうでけり。」というのがありました。その時初めて仁和寺の名前を知りました。


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さて、境内をざっと見たあと、さあいよいよスケッチと思って、仁和寺の正面の二王門を描き始めたのですが、持ってきたSMサイズの小さなスケッチブックではこの大きな門を描けません。「やっぱり、これを描こうと思うと、最低F4サイズの紙が要るなあ」とため息。京都の寺社のスケールの大きさに跳ね返される感じです。もう残り時間も余りありません。「あーあ、今日は全然描けない」。もう残念ながらここでもギブ・アップです。その後、予定通り妙心寺に回って、JR山陰線の花園駅から電車で京都駅へ向かい、午後4時に到着。

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京都は見どころが多すぎて、つい欲張ってあちこち歩いてしまいます。今日も1万8千歩も歩きました。歩いている内に時間がなくなり、歩き疲れてエネルギーもなくなり、結局スケッチが出来ない。これが京都での私のいつものパターンです。「京都の水彩スケッチ」、また落ち着いて次回出直します。