わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

「東洋の マチュピチュ」 霧で ピチャ ピチャです (愛媛県新居浜市 別子銅山跡 水彩スケッチ)

2015年9月

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バススケッチツアーに参加し、愛媛県別子銅山跡に来ました。直前の天気予報では曇。1週間前のテレビの週間天気予報では雨だったのに、次第に良い方へ天気予報がずれてきていました。それで今日はもう雨は降らないだろうと楽観的な気分でいました。しかし、途中の中継基地マイントピア別子まで来て、バスをマイクロバスに乗り換えて狭い山道を登り始めると、とたんに濃い霧が出始め、視界が十分きかないほどです。



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マイントピアからバス30分で目的地の標高750メートル 東平(とうなる)ゾーンにやってきました。バスの中では「東平(とうなる)に来たけど、どうなることやら」などと軽口をたたいていましたが、さてバスを降りてみると、全てが本当に霧の中。目指す別子銅山の遺構もかなり近寄らないとはっきり見えません。


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しかし、折角遠路はるばるここまで来たので、イーゼルと立てて、F6見開きでスケッチ開始。始めのうち霧はあまり気にならなかったのですが、次第に霧が水滴となって画面を濡らすことに気がついて、慌ててタオルでスケッチブックを拭ったり、傘を出して絵の上に立てかけたりしました。今日はDerwentの鉛筆を使って下書きをしました。多分普通の鉛筆だと濡れた水彩紙の上には線が引けないと思うのですが、この鉛筆は水を帯びた水彩紙の上では水に溶けたような感じで意外とまともな線が引けました。これは偶然の新しい発見です。


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それでも作業はここまでで精一杯。絵の具を紙の表面に乗せようとしても画面からすぐに滑り落ちて全く乗ってくれません。「あーあ、ドライアーがあったらなあ」、と切実に感じながらのスケッチ。結局、今日は開始1時間ほどでギブアップ。しかし、結果として霧(雨)の日らしい感じの絵にはなりました。霧が濃く立ち込めているので、遠景はボーッとしか見えません。もうこれ以上描きようがありません。


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仕方なく絵の道具を片付けて、残りの時間は別子銅山の資料館を見ました。こんな山の中に会社(住友金属鉱山)の社宅が立ち並び、かつては3,800人の銅山関係者とその家族が住んでいたことを記録する写真が展示してありました。写真の中の子供たちの屈託のない笑顔が印象的でした。こんな山の中にも会社の造った私立の小学校・中学校があり、皆それなりに幸せそうな表情をしています。鉱山の生活が本当はどうだったのかはよく知りません。多分親の労働条件は厳しかったでしょう。自由に物も手に入らなかったでしょう。公害問題もあったでしょう。全てが過ぎ去って、今、銅山の遺構だけがひっそりと建っています。全て霧の中。今日のような深い霧がこの遺構には丁度ピッタリのような感じもしました。



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