ターナーの 水彩 アトリエ テムズ川 (ロンドンテムズ川河畔散策 ロンドン街並み遠望 水彩スケッチ)
2015年7月11日
今回のロンドンの旅で期待していたことがあります。あのイギリスの風景画家ターナーのアトリエ兼住まいを見ること、そしてターナーの水彩画を見ることです。それで今日は、地図を片手にホテルから南方向のチェルシー地区を歩いてテムズ川の河畔に行き、その河畔沿いの道を歩いてターナーのアトリエ跡を見て、できればその近くにある古い植物園チェルシー・フィジック・ガーデンでバラのスケッチをして、それからさらにトラファルガー広場に行きナショナル・ギャラリーで印象派とターナーの絵を見て、最後にその近くのウインザー&ニュートンの画材店を訪れる、というちょっと贅沢な計画を立てました。とにかく水彩道具を片手に、もしバスが来たらそれにも乗って、しかし基本は歩けるだけ歩こうと思っていました。
アールズ・コートにあるホテルを出て、この2,3日いつも歩くオールド・ブロンプトン通りを東へ10分程歩きます。しばらくして一方通行のバス通りを南へ。多くの作家・文化人が住んだチェルシー地区の美しい家々にため息をつきながら歩くこと約20分。テムズ川が見えて来ました。テムズ川にそってチェイニー・ウオークという散歩やランニングが出来る道がずっと続いています。
ターナーのアトリエ跡はすぐに分かりました。ただし、今は個人の家になっていて一般には開放されていないようでした。
チェイニー・ウオークにそって更に東へ30分ほど歩くと、植物園に来ました。しかし残念ながら土曜日は休園でした。仕方がないので更に東へ歩いて5月のチェルシ・フラワーショーで有名なチェルシー王立病院の広大な敷地の中の道を通って、更に40分ほど歩いてテート・ブリテン(昔のテート・ギャラリーだと思います)に到着しました。ホテルから2時間余り歩き続けたお陰でテムズ川の眺めを堪能できました。
テート・ブリテンはターナーの絵などの常設展は無料でした。ここで35年ぶりにターナーの油絵と水彩画を見ました。やはりターナーの絵だなあ、という感じです。油絵は大画面です。ターナーという人は光と水を描こうとしていたことがよく分かります。これに豊かな緑があるといいのですが、絵の具の色が当時そんなに良くなかったのか、それともイギリスの風景に鮮やかな緑が少ないためなのか、ご存知のように油絵も水彩も全体に描写と色調が繊細でおとなしい印象です。でもひと目でターナーの絵だとわかります。ターナーの人物画もはじめて見ました。これははっきりいってあまり上手くないです。やはりターナーは風景画家です。私も人物は下手なので、ターナーの人物画を見て思わず「これでいいんだ」と安心してしまいました。誰でも得意、不得意があるのですね。
ターナーの絵を見て、実は「私の絵も意外とターナーに負けてないね」という「傲慢な」思いがわきました。しかし本当にそう思ったので、正直にここに書きます。ターナーは水彩画の先駆者ですが、それに続く人たちや日本の自分の身の回りに普段いる友だちの中に、「わあ、いいなあ」という絵を描く人は一杯います。ターナーのように技巧に優れてはいないけれど、面白い味のある絵を描く人は自分のすぐ近くに沢山いるのです。
テート・ブリテンを出たところでバスに乗ろうとバス停に行ったら、日本人の女性二人が先にバスを待っていました。名古屋からこられた方でした。一緒にバスでナショナル・ギャラリーに行くことになり、バスに乗りました。途中で渋滞がひどくなり、バスが運行を中止したので、やむなくバスを降りてまた徒歩です。しかし、歩いたお陰で国会議事堂とビッグベン、ウエストミンスター寺院、ダウニング街の首相官邸、騎馬兵のガードであるホース・ガーズ、トラファルガー広場をゆっくり眺められました。この辺りはイタリアなど海外の中学・高校生の修学旅行生で溢れかえっていました。多分地元のイギリス人はあまりこんな混雑した観光地には来ないのだと思います。
ナショナル・ギャラリーの前のトラファルガー広場はすごい人出です。そこを横切ってナショナル・ギャラリーに入場。ここもすごい人。入場無料です。展示してある名画の写真もフラッシュをたかなければ自由に撮り放題なのが不思議です。ここで印象派の絵に35年ぶりに対面。やはりこの人達はうまいです。ターナーの絵も見ました。やはりターナーとすぐわかります。この辺りの個性がやはり凄いのでしょうね。
ギャラリーをでて裏側すぐの場所にウインザー&ニュートン社の経営する画材屋があったのでこころをときめかせて入りました。しかし、これは期待はずれでした。あまり画材の種類が多くなかったです。私がいつも行く倉敷の画材屋さんの方がよっぽど面白いものを置いています。
というわけで、今日の予定は終わり。帰りは地下鉄でライシェスター・スクエアからサウス・ケンジントンまで行き、そこからバスでホテルのある地区まで帰りました。午後から夕方にかけては近くのスーパーでパンや果物を仕入れ、それを食べながら、ホテルの窓から見えるロンドンを遠望するスケッチ。ちょっとずつ空き時間を使って描いたので、3日目にようやく完成しました。