わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

カバ子と平和な時代

2015年6月7日
 

6月4日は虫歯予防デーでした。毎年この日には、動物園で大きな口を開けたカバの歯に大きな歯ブラシを当てて歯磨きをする映像がテレビのニュースで流れます。何とも長閑(のどか)で平和な光景です。

 

私は、子供の頃から歯があまり丈夫でなかったのと、歯磨きをきちんと丁寧にする習慣が無かったために、右左の下奥歯(大臼歯)が早くから虫歯になり、大きな穴があいてしまいました。小学生の頃、歯医者さんに行ってその穴のあいた虫歯の治療をしてもらうのが怖くてとてもいやでした。実際、そのころの歯医者さんの治療はとても痛くて、金属の詰め物を何度も換えるたびにドリルでどんどん歯が削られて穴が深くなり、その穴の大きさを舌で確かめて、絶望感を抱いていました。そして30歳代で早くもこの奥の一番大事な歯を二本抜歯しなければならなくなりました。この30歳代で2本の歯を失った時には、さすがにショックでした。抜けた歯の両側にはブリッジをかけてもらい、その後は何とか奥歯が支障なく使えるようになりました。それから30年。そのブリッジは今日まで酷使に耐えて来ましたが、そのブリッジを支えていた歯が1本最近になってかなり弱くなり、2年前にブリッジの修理をしました。「あともう2,3年しかもたないでしょう」と歯医者さんの言葉。並んでいる2本の歯がなくなると、もうその後はいよいよ「部分入れ歯」が待っているようです。「80・20」と言って、80歳で20本の歯を維持するのが国民的目標になっているようですが、さて果たしてこれが達成できるかどうか、私の場合はやや厳しいかもしれません。この10年位はあんなに嫌いだった歯医者に2ヶ月に1度はきちんと出かけて、歯の掃除や修理を受けています。

 

子供の頃、まだあまり今のように甘いモノが沢山売られていなかった時代に、キャラメルは子供たちの間で人気のお菓子でした。森永ミルクキャラメル(1913年発売)、明治クリームキャラメル(1934年発売)、明治サイコロキャラメル(1927年発売)、グリコのアーモンドキャラメル(1955年発売)、不二家のミルキー(1951年発売)などにならんで、大きな口を開けたカバがトレードマークのカバヤキャラメル(1946年発売)も昭和30年代には人気がありました。立花製菓の日の丸キャラメルというのも懐かしいです。これらのキャラメルを美味しく噛んでいる時によくポロリと歯の詰め物が取れました。あの詰め物がキャラメルと一緒に抜けた瞬間の情けない気持ちを今でも思い出します。

 

カバヤは今私が住んでいる岡山で創業した会社です。戦後訪れた平和な時代をカバヤのキャラクターとして特別仕様の車に乗せられて全国を回った「カバ子」というメスのカバが居たそうです。子供の頃私が住んでいた山陰の小さな町にこの「カバ子」が来たという記憶はありません。当時道路事情の悪かった中国山地を越えていくのは多分無理だったのでしょう。カバ子はかなり最近まで北陸地方の動物園で生きていたとカバヤの関係者から聞きました。長く生きて子供たちに喜びをくれた「カバ子」に、ご苦労さんという気持ちがわきます。それと同時に、「いつも子供たちが不自由なく甘いものを食べられる豊かな日本、そしてもう二度と戦争をしない日本、いつまでも」と願わずにはいられません。