わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

ヤシの木だ 南の島に やって来た! (インドネシア バリ島 水彩スケッチ)

20149
 
7時、昨晩からの浅い眠りから覚めると、窓の外には明るい日差しがありました。聞きなれない明るい鳥の鳴き声と、それに混じって、道を走るバイクの音。スミニャック地区のビーチに近いヴィラなのですが、昔からある豊かな自然の音と、現代の人々の生活の音が共存しています。


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私の部屋は2階で、カーテンを開け、扉を開いて広い踊り場のようなところに出ると、ヴィラの建物の向こうにヤシの木が見えました。実は私にとっては、バリ島でこれが一番の感動だったかもしれません。


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朝8時。食事前に水筆と簡単な6色の水彩パレットを取り出してスケッチ開始。紙は本格的な水彩紙ではなく、簡単な鉛筆スケッチ用の紙です(イギリス Derwent社製の冊子タイプ)。紙が薄くてペラペラなので、水彩絵の具を何度も塗り重ねることは無理です。水筆に水彩絵の具を含ませて、輪郭線と全体の雰囲気を2, 3分で速描きするために使います。


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朝8時半に朝食。ヴィラの食堂で用意してくれたナシゴレンインドネシア風焼き飯)は美味しかったです。これは優しい味で日本人の口に合います。コーヒーはバリコーヒー。これもOK。昨晩ヴィラに入ったのが遅くて、皆寝不足気味なので、食事のあとは予定を変更して近くのビーチを散策しました。


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きっとゴーギャンの描いたタヒチの風景みたいにヤシの木陰に地元の若い女性たちが座ってたりするんだろうな、とワクワク期待して行ってみると、そこはただのだだっ広い海岸でした。日本のような白い砂浜ではなく、やや黒ずんだ砂です。火山が近くにあり、このあたりはその噴火物が地層を形成しているようです。この海は遠浅でどこまで行っても膝位の深さだそうで、しかも下は黒い砂。泳いでいる人はだれもいません。外国人観光客が数人日光浴をしている以外は、地元のおっさんたちが、砂浜の手前で何をするでもなく、ぼんやりと座っていました。
 
浜辺にある多くのヴィラは、入り口が警備員によって厳重に警備されていて部外者は立ち入れません。ヴィラという閉じた守られた空間での自由。そしてプールや庭などの作られた景観。そこに滞在する金持ちの観光客と、そのまわりのそれと比べると圧倒的な経済的格差のある普通の人々。これがこの地域の現実なんですね。このビーチでも記念に簡単にスケッチをしました。
 
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それから昼までは自由時間となったので、私は自分の部屋に戻って、部屋の入口から見えるヴィラの他の建物とヤシの木の風景を水彩紙に描き直すことにしました。作られた風景だと分かったのですが、仕方がありません。


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昼食は外のレストランでとりました。涼しい風が吹いて気持ちのよいテラスです。最初におしぼりがでたのですが、これが面白かったですね。6つに区切られた木の箱に水が入っていて、そこに白い丸いタブレットのようなものを入れます。するとそれが次第に水を吸って膨らんで来ました。それを取り出して広げてみると、なんとおしぼりでした。拍手です!


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メニューはサラダ、骨付きの豚肉と、マッシュドポテトです。特にポテトは美味しかったです。バリ島はヒンズー教徒が多いので、豚は食べますが牛は食べません。最後のデザートのプリンもOK。食べ物はどれも結構なお味でした。
 
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午後は2時間、ヴィラに戻って、バリの踊りの衣装を身につけた少女のスケッチです。これがこのツアーの唯一のスケッチタイムで、いわばメインイベントです。少女は地元の小学生。きれいな衣装をつけて可愛かったです。

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私は普段、人物画を描き慣れていないので、緊張してしまいました。今日は鉛筆を使わずに初めからいきなり水彩筆で描きました。顔の中の目や口はやはりポイントで、そこをつい何度も筆でさわったり、布で拭ったりします。そのせいで、だんだん紙の表面が傷んで、思うように色が乗らなくなってきました。今日使った紙は、いつものラングトン水彩紙の粗目でした。いろいろ消したりぼかしたりの作業をするなら、アルシュがいいな、と この時しみじみ思いました。これも経験です。
ラングトン水彩紙は、私のやっているような筆ペンを使った風景の早描きと淡彩にはすごく向いていますが、じっくり描き込むには向いていないようです。


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不満足ながら人物スケッチを終えて、ヴィラからずっと南のバドウン半島の先端にあるウルワツ寺院に行きました。ここで有名な日没を見ながらケチャダンスを鑑賞しました。



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ダンスの会場はオープンな円形の舞台でした。それをぐるりと囲むように作られた階段状の観客席は観光客で満員となり、夕暮れの中、ダンスが始まりました。うーん、これはなかなか伝統的ないいダンスでした。これは絶対見逃してはならないと言われるだけのことはあります。男性が円陣を組んで「ケチャ、ケチャ」と繰り返し歌うことでリズムが生まれ、それに主役の女性や男性、猿が加わってダイナミックにダンスが進みました。夕暮れの海と半島の絶壁とが見事に美しく、時間があればここでスケッチしたいな、と思いましたが、それは無理で、帰りの道が渋滞するというのでダンスが全部終わる前にバスに戻って、夕食に向かいました。


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夕食はビーチの屋台でエビやカニ、鯛などのシーフードを頂きました。夜の浜辺を吹く風が心地よかったです。テーブルを回って歌を歌ってくれるおじさんたちが、我々のテーブルで歌ってくれた日本の歌がどれも上手くて、感心しました。昔、ラジオやテレビでよく聞いた、和田弘とマヒナスターズ という感じでしょうか。皆で大きな拍手とチップをあげました。この日も夜遅くヴィラに帰着。シャワーを浴びて、疲れてベッドに入りました。