わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

猫の絵を 初めてアルシュ紙に 描いてみた

2019年10月13日

 

台風19号の被害に気をもみながら、昨日、我が家の猫の子の絵を初めてアルシュ紙(粗目)に描いてみました。アルシュ紙というのは、フランス製の最高級の水彩紙のことで、私など高くてなかなか使えない紙なのですが(F6サイズ−31cm x 41cmーで1枚500円ぐらい)、このところ猫描き用に使っているもう少し安価な紙と比べてどのぐらい様子が違うのか、試してみたくなりました。

 

これまで猫描きに使ってみたのは、モンバル・キャンソン紙(フランス製)、ウオーターフォード紙(イギリス製)、それにラングトン紙(イギリス製)で、いずれも中目です。これらの紙も決して安い紙ではありませんが、アルシュ紙に比べれば割安です。これらの紙も今回使ったアルシュ紙粗目も風景画にはよく使います(アルシュ紙は、使う時はさすがに「高い紙」という意識が先にたってやや気合が入りますが・・・)。風景画をこれまでこの4種類の紙で描いてみて、紙の個性は大雑把には理解しているつもりですが、普通野外ではいきなりスケッチしますし、しかも3時間ぐらいの限られた時間内で仕上げるという制約つきなので、ゆっくり紙の性質を吟味しているゆとりがありません。もうなかば行き当たりばったりで、水彩紙と絵の具(絵の具も、その時の気分で3種類ぐらい使い分けます)を選んで、その時の絵ができあがる、という調子です。

 

熱心な人や、もっぱら屋内で絵を仕上げる人は、自分の部屋でゆっくり紙を選んで描き比べることもされているはずです。私の場合、夏の暑さで外にスケッチに行けず、今年8月から猫のスケッチを部屋でやり始めて、やっと水彩紙の微妙な味の違いをわかりだしたという訳です。ウオーターフォード紙とラングトン紙は私が標準的に風景画で愛用している紙で、猫の淡彩スケッチでも満足のいく結果でした。とにかく安心して楽に描けます。ただし、絵の具の吸い込みがしっかりしていて、一度塗った色は水で濡らしたガーゼでぬぐっても取り除けません。そのかわり、一度塗った色の上にもう一度同じ色を重ねたり別の色の重ねて色の相乗効果を出すという透明水彩の一番の魅力に応えてくれる紙です。4種類の紙の中で一番安価なのはモンバル・キャンソン紙です。数年前この紙を使い始めた時、私はこの紙はそれなりの結果しか期待できない紙だろうと思っていたのですが、ところがどっこい、これがなかなかスグレモノであることが分かりました。紙が固くて丈夫です。間違って手が切れるぐらいだと言う人もいます。筆に水をたっぷり含ませて描いても紙がたわむことがありません。木材パルプ紙の特性なのか、色を乗せて、その後修正したくなって濡れたガーゼで拭うと、その部分の色が取れます。つまり塗り直しができます。これはかなり便利な特性です。最近の猫のスケッチでもこれでずいぶん助けられました。しかし、これはこの紙の欠点にもなって、下に塗っていた色が溶け出すというハプニングが起きます。これをうまく使ってぼかしなどの面白い効果がでやすいのかもしれません。発色はとてもいいです。

 

さていよいよアルシュ紙です。粗目なのでエンピツの下書きの線が紙の表面に残りやすいです、下書きしていてもエンピツが引っかかる感じがします。それがまた快感なのですが・・・。色はうまく紙に染み込んでいってくれて、上から重ねた色をうまく生かしてくれているような気がします。ただし、全体に絵の具が乾いた後に色が沈み込みます。まあ落ち着いた感じということでしょうか。一度塗った色は水で濡らした筆やガーゼで取れません。淡彩ではなく、色を重ねて深みを出したい時にいい紙だと思います。淡彩スケッチをしたい時には、ラングトン紙かウオーターフォード紙、またモンバル・キャンソン紙がいいかもしれません。

 

今回試しにアルシュ紙を使ったので、練習だとおもって3時間もかけて色を付けました。いろいろな色を重ねても、そんなにひどく汚れた感じにはならなかったとおもいます。私の風景画では、アルシュ紙を使った時にも他の紙の時にもあまり色を重ねるということをしないので、今回の猫のスケッチは勉強になりました。

 

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今日のマルちゃん

アルシュ水彩紙 粗目 F4

2Bエンピツ

シュミンケ固形水彩絵の具

所要時間:3時間