わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

商店街 自虐の人に 会いました (岡山県倉敷市本道り商店街 水彩スケッチ)

2014年6月
 
今年4月に倉敷本通り商店街にあるギャラリーで作品展を開催した縁で、商店街の秋の「芸術祭」に使うポスターの原図作成を依頼されました。今日はスケッチの仲間二人と一緒に朝9時から夕方4時まで、手分けして商店街の店を水彩スケッチしました。絵は趣味で描いている分には実に気楽でいいのですが、人から頼まれた仕事になるととたんにプレッシャーになります。依頼主に満足してもらうには、それなりの工夫がいるようです。例えば曇っていても明るい空にするとか、通りを行く人の服装を派手にするとか、年配の歩行者を減らして若いカップルや子供連れをいれるとか…………うーん、やっぱり、プロになるのは大変ですね。なるべく、いままで通り、素直なあるがままの街の姿を描きたいものです。


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今日の午前は商店街の入口付近のスケッチでした。9時頃は人も少なかったのですが、お昼に近づくにつれて人通りが増えてきました。商店街を描くのですから、人目を気にしているわけにはいきません。もう開き直って、自分のペースでどんどんスケッチです。


 
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午後は昼食を食べてコーヒーを飲んで一服してから、4月にお世話になったギャラリーをいれた商店の並びを描きました。午後、順調に描いていたところ、年配の男性が話しかけて来られました。

「わしゃ、もう八十なん年かここに住んどるんじゃが、この商店街のどこが絵になるん?」
「ほら、このお店の前の高く積まれた座布団なんて、面白いじゃないですか」 と私。
「なるほどなあ。そう言われればそうじゃなあ。  だけと、人はみな美観地区の大原美術館の方で描きよるでえ」
「美観地区はちょっと綺麗に整いすぎですね。  この辺で絵を描く人はあまりいませんか?」
「わしゃ、もう長いことここで生きとるが、今までここで絵を描いた者はおらんなあ」
「はあ、そうですか。でもこの商店街の生活感がなんとも言えずいいじゃないですか」
「そんなもんじゃろうか」
「ここの商店街の方ですか?」
「そこの自転車屋じゃ」
「わあ、すごいじゃないですか。絵になりますよ。明日描いてあげますよ」
「こんな店描いて絵になるんじゃろか?」
「そりゃ、おもしろい絵になりますよ!」


午後はこの自分の商店街に自信のない「自虐的なおじいちゃん」の出現で、面白かったです。今日は本当に沢山の人に絵をみていただき、感想をいただきました。有難うございます。
 

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