わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

ほっとする あの家並みは そのままだ (岡山県倉敷市玉島 溜川 水彩スケッチ)

2017年4月


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野外スケッチ講座に参加して倉敷玉島の溜川(ためがわ)を描きました。ここを初めて描いたのは2012年の8月。あれからはや5年近くが過ぎました。最初は玉島の古い町並み(映画「三丁目の夕日」のロケに使われました)や有名な水門を描きたくて、JRとバスを乗り継いでやってきました。とても暑い日でしたが、玉島の町の中を随分歩いて古い人通りの無い商店街を抜けて、暑くてフラフラになりながら、たまたまたどり着いたのが溜川でした。暑い日差しをさえぎる水辺の木陰で、ほっと一息ついて描いた溜川のスケッチ。川のほとりのレトロな昭和の家並みの素晴らしい姿。あの時の感動は今でも思い出します。あのスケッチの味が忘れられなくて、あれからもう何度ここを描いたことか。


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玉島の素晴らしさは、実は多くの画家によって認識されていることを後で知りました。そして最近は同じ倉敷の有名な美観地区よりも絵描きの心を引きつけているように思います。観光慣れしていなくて、生活感の漂う昭和の町並み。醤油屋さん、味噌屋さん、酒屋さん、ソース工場、パン屋さん、とても美味しいおはぎを売る店、何とも言えないおいしいカステラを売る店、港、お寺、神社、水門、古い商店街。何としてもこのまま残って欲しい。ここに来るたびに強く思います。
 
なかでも何としても変えて欲しくないのが溜川の風景です。この昭和レトロの古い家並みが一部でも現代風の建物に代わったら、この風景が台無しです。画面の左側にある川のほとりの柳の大木。よく見るともう倒れそうです。この木が無くなると、この風景のポイントが消えてしまいます。玉島の場合、美しい景観の保存というのは朽ち果て続ける木造建築や古いコンクリート建造物の保存がからむ、ある意味で時間との戦いで、実に大変な作業ですね。町の将来を見据えた行政の高度な判断力と市民のサポートが求められます。



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ラングトン水彩紙 中目 F6 見開き
ぺんてる筆ペン(青墨)
ウィンザーニュートン固形水彩絵の具
所要時間:3時間