わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

地中海の 風吹きあげて ミモザかな (南フランス ミモザ 水彩スケッチ)

2014518

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南仏4日目はミモザの町です。温暖な気候を生かして、ミモザ、うちわサボテンやオーストラリア原産の植物、そのほか南方の植物が町を美しく彩っていることで有名です。植物が美しい町()として4つ星に選ばれているとか。バスが駐車場に着くと、遠くに地中海が望める丘の中腹から頂上に美しい南欧らしい家々が広がる美しい町でした。なだらかな傾斜にそって沢山の家並みが続いています。バスを降りたすぐのところに町全体を見渡せる場所があったので、そこにイーゼルを置いてスケッチを始めました。地中海から吹きあげてくる風が強く、日陰にいるとぐんぐん寒くなるのですが、幸いそのスケッチの場所は日当たりがよく、風も強くはなく、快適にスケッチを進めることができました。バスや自家用車の駐車場の近くなので、そこから町の方へ降りてゆく人たちが多く通る場所でした。F6の水彩紙を見開きにして、目の前の沢山の家屋を写しとります。遠くに山並みが見え、それに向かって点々ときれいな家が並んでいます。時折、教会の鐘が鳴ります。やはり、カトリックの国なので、教会が町の一番高いところにあるようです。


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はじめに一軒一軒の家を丁寧に描いていたところ、講師のS先生からあまり丁寧に描きすぎないようにと注意を受けました。確かに、どこまでも続く家並みを丁寧に描いていくと、それだけで時間がかかってしまいますし、この町全体のおおらかな雰囲気をうまくまとめて描くことができなくなります。なるほど、と納得して、すぐに方向転換して、いつもの速いタッチのスケッチに切り替えました。こういう外国にいて沢山の人が絵を見てくれる状況では、つい自分のスケッチ力を出したいと思って、気負って緊張して、絵が細かく固くなりすぎます。いつものリラックスした自分本来の絵のペースを取り戻して、スケッチを進めました。「屋根の瓦は一枚一枚描かなくてもよい、特に遠くの家の瓦を一枚一枚描くと屋根が重苦しくなる」というS先生のアドバイスは的確だと思いました。


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今日も沢山の人が絵の前で立ち止まってくれました。「私も絵描きなんだけど」と話しかけてくれた女性は「これでいいですよ」と言ってくれました。「この線は何で引いてるの?」と尋ねてきた女性には、日本製の顔料インクのペンだと説明してあげました。「このペンで描いた線は上から絵の具を塗っても流れないのです」と説明してあげると、納得していました。この人、フランス語しか話せないので横にいた友達が質問を英語になおして、私に質問してくれました。鉛筆はどこでもだれでも使うもので極めて一般的なのですが、さすがに筆ペンはフランスには無いでしょうね。絵が出来上がるころに話かけてきたオランダ人の夫婦は、「あなたが描き始めた頃に私達はちょうどここを通りかかって絵を見たんだけど、もう仕上がったんですね」と熱心にスケッチを見てくれました。このご夫婦は、日本のブラザー工業に勤務して名古屋に5年ほどいたことがある、と言っていました。それにしても、これまで何度も書いたことですが、フランスでは、通りがかった人が熱心に絵をみてくれます。この状況に慣れてくると、ギャラリーのいないところでは絵を描く気がしなくなりそうです。いや、この経験は本当に自分にとっては画期的なものです。絵を見てくれて、素直に言葉にしてほめてくれる人たちのお陰で、自分の絵に自信がもてますし、絵を描く喜びをますます感じることができます。この2,3日、絵を描きながら、この人達がびっくりするような絵を描いてやろうという気持ちが強くなりました。フランスでは、人々の美術への関心が非常に強いと思います。特に南フランスは印象派が育った土地ですから尚更なんでしょうね。


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昼食をはさんで、最初の絵を描き終えて、残りの時間は町の中を散策しました。町から眺める地中海の美しいこと。花も綺麗だし、ここはまるで天国に一番近い町(村)という感じです。


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