わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

図書館の 入館一千万人目を 逃(のが)し (岡山市県立図書館・旭川・京橋 水彩スケッチ)

20145
 

5月の連休こどもの日に、岡山市旭川にかかる京橋をスケッチに来ました。ここは続けて2回目のスケッチです。今日は特別に学生さん二人と一緒にスケッチしました。朝から生憎の小雨模様。岡山駅から電車に乗って県庁前下車。歩いて県立図書館前を抜けて、旭川沿いにスケッチ場所を探して歩きました。雨が降っているのでまずは絵の具を使わずに鉛筆で大雑把なスケッチの練習です。若い人に「絵を教える」のは初めてなので、うまく出来るのか心配でした。場所を変えながら2,3枚鉛筆スケッチをするうちにお昼ごはんの時間になったので、近くの食堂で腹ごしらえ。700円の定食が暖かくて美味しく、ホッとしました。エネルギーを補給して、雨もやんだので、いよいよ正式なスケッチです。場所はいろいろ探したのですが、結局以前に描いたことのある京橋の見える場所にしました。ここは休みの日に朝市が開かれたりして、市民の憩いの場所です。



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学生さんたちに教えたのですが、私の水彩スケッチのやり方は次のようになります。全く素人のやり方なので間違っているところがあるかもしれませんが、学生さんたちがあとで復習しやすいように一応書いておきます。

 

(1)まず、2Bの鉛筆(平鉛筆が使いやすい)でざっくりと全体のスケッチをします。

(2)次に「ぺんてる青墨筆ペン」で、鉛筆の線を頼りに、しかしもとの鉛筆のスケッチをある程度修正しながら下書きをします。遠景は細い筆先で、中景はしっかりと丁寧に手を抜かないで、そして近景は太めの筆先で大雑把に描きます。筆ペンに入れる「力の入れよう」で筆先が自由になるのが筆ペンのいいところです。そして大事なのはスピード感をもってぐんぐん描いていくことです。少々のデッサンの狂いは気にしないでいきます。

(3)ある程度筆ペンの下書きができたら、鉛筆の線を練り消しゴムで丁寧に消します。これによって、あとで水彩絵の具で彩色したときに鉛筆の炭素の汚れが混じりません。これまでのステップに1時間半から2時間程度時間がかかります。

(4)そしていよいよ彩色です。まず空の部分を塗るために水刷毛でその部分を予め塗ります。そして空の色を置いて、刷毛または大きな平筆でざっと塗ります。雲があれば雲の下の影を紫色などその時の状況をみて塗ります。地平線近くの空の色はやや黄土がかっていることがあるので、その時は黄土色も使います。あらかじめ水で画面を塗っているので、絵の具が綺麗にひろがります。

(5)次にパレットの上で赤と青と黄色を混ぜて影の色を作ります。その時の気温や光の様子を見て赤を増やしたり青を増やしたりの加減をします。これをある程度たくさん作っておいて、適度に薄めて濃い影用と薄い影用を準備します。

(6)建物や木の影の部分を塗ります。いきなり濃い影の色を付けないで、まず薄く塗ります。目を細めて影の部分をしっかり確認します。この時大きめの平筆が便利です。

(7)明るく光った部分は色を塗らないで水彩紙の白地を残します。水彩画は要するに「光を描く」わけなので、この暗い影と、何も塗らない白地のバランスが大変重要です。

(8)つぎにパレットに黄色をたくさん出します。黄色を、明るい部分に大胆に置きます。例えば木の上の方とか、草原とか建物の明るい部分とかにです。黄色は乾いた後、どんな色を載せても色がにごりません。なので、安心して黄色を使います。

(9)この段階で一休みです。画面を乾かします。影の部分が曖昧なら、ここで更に影を濃くします。ただしやり過ぎはだめです。これでほとんど絵の80%は出来上がっています。これでかなり満足します。後は自分の好きな色を薄めに乗せていきます。私の場合は青が好きです。影には紫を加えたりします。木や植物の緑も、予め置いておいた黄色の上にいろいろな青を乗せて複雑な緑を作ります。すべて黄色の下地が乾いた後の作業になります。

(10)緑の中に少し赤が入ることもあります。私が現役の時にやっていた仕事(研究)と関係があるのですが、緑の色素であるクロロフィルは光を吸うと赤い蛍光を発します。葉の裏側にいると赤い光が見えたりします。

(11)全体を塗るのに約1時間かかります。これで全部で2時間半から3時間の制作作業となります。全体を眺めて色のバランスをみます。赤が入ると絵が元気になるので、景色の中で赤の部分を探して、ちょっとだけアクセントに赤を入れます。

(12)最初の筆ペンデッサンで間違ったところは、あまり気にしないで放っておけばいいのですが、どうしても気になる場合は、白のガッシュで線を消します。筆ペンが自分の意に反して濃く墨を出した部分にも、白を置きます。

(13)明るく輝いているところを間違って塗ってしまったときも白で補正します。私は人物には色をつけません。今の私の課題は、人物をうまく絵の中に入れることです。人物が入ると絵がいきいきしてきます。乗り物も好きです。

(14)最後に、私が気をつけていることで大事だと思うことは、大きな筆で大胆に色をつけること。ちまちまとまとまった絵にしないことです。自分の自由な心と開放感を絵にすることです。

 

何とか、私も学生さんたちも絵が出来上がって、満足して帰路につきました。帰りに学生さんも一緒に県立図書館に立ち寄って、水彩画の本を見ました。帰宅してテレビを見ていたら、県立図書館の入館者数が今日の午前中に一千万人になり(たぶん出来てから10年近くになります)、記念のセレモニーがあったと報じていました。今朝行きがけに図書館に寄っていたら、この一千万人目になっていたかもしれませんね。この図書館、利用者も貸出する本の数もこの数年連続日本一だそうです。素晴らしい図書館です。