わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

シスレー 「モレのロワンの河岸」 模写

2019717
 
久しぶりに良い天気が2日続きました。昨日は他にやることが多くてスケッチに行く時間がありませんでした。今日はチャンスだと思っていたのですが、日が昇ると気温がぐんぐん上がり蒸し暑い日となりました。本格的な夏が始まる前のこんな日が熱中症にかかりやすいとテレビでしきりに言うので、気持ちが萎縮してしまいました。確かに外に出ると暑さと湿気に加えて、目の奥にズンズン差し込むような紫外線の強さです。夏の紫外線が嫌な私は、あっさりスケッチを断念して、今日もエアコンに効いた部屋で印象派の絵の模写をすることにしました。今日はシスレーの「モレのロワンの河岸」(油彩、1892年作)です。シスレー53歳の時の作品だそうです。
 
前回の模写では、線描きに用いた筆ペンのラインが強すぎたので、今日は鉛筆(HB)を使って線描をしました。鉛筆は筆ペンと違っていつでも線の修正ができるので、気分は楽です。しかし、難しいのはその後の透明水彩による彩色です。彩色に頼る割合が筆ペンによる線描きの時よりずっと大きくなるので、かなり気を使います。

筆ペンの線描の時には「線の勝負」。線の生き生きとした躍動感が大事です。一方、HBなど硬めの鉛筆による線描の時には「彩色の勝負」です。どちらを選ぶかはその人の好みですが、私の場合はやはり前者が好きです、もし鉛筆の線描をするとしたら、2B程度のもう少し柔らかくて濃い目の鉛筆で、しかも芯の先が丸いものを使います。その方が、線の生き生きとした感じが最後まで絵の中に残ります。3B以上の非常に柔らかく濃い鉛筆になると、今度は鉛筆の黒鉛が水彩紙の画面を汚し、あとで彩色した時にせっかくのきれいな色が濁る結果になります。


イメージ 2
はじめに影と光の部分を彩色


イメージ 3
全体にざっと彩色。透明水彩だとこの辺りでやめるのがいいのかもしれません。


イメージ 1
さらに色をつける。最後にやや色が濁ってしまいました。あまり塗り込まないほうが良さそうです。
 
模写をすると、普段のスケッチの現場では時間がなくて試せないようなことを、ゆっくり時間をかけてやってみることができます。

名画の模写は、昔から美術教育の中で、またプロの画家の普段の修練の中で盛ん行われて来ました。美術館の名画の前で模写できれば最高ですが、そんな時間もチャンスもない人は、自分の本棚にある画集や図書館で借りてきた画集を見ながら、好きな画家の名画を模写することをおすすめします。とても勉強になります。


モンバルキャンソン水彩紙 中目 F4
鉛筆(HB)
ウインザーニュートン固形水彩絵の具
所要時間:2時間30分