わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

シスレー 「サン=マメス」 模写

2019年8月3日

 

今日はシスレーの「サン=マメス」を模写しました。1885年の油彩作品で、ひろしま美術館に所蔵されています。ひろしま美術館には印象派の優れた作品が多数常設展示されています。印象派が好きな人は必見です。2,000年に全国を巡回する大規模なシスレー展が開かれ、その時ひろしま美術館にシスレーの作品を観に行きました。私がこれまで国内で観た印象派の作品展の中で最も感動したのがこの広島でのシスレー展でした。どの絵もどの絵も素晴らしい。水と空と緑の描写が美しい。空がとても広くて気持ちがいい。どの絵にも見入ってしまいました。「立ち去り難い」というのはこのことだと思いました。それ以来、「熱狂的」なシスレーのファンです。

 

シスレーは毎朝早く、絵の道具をもって現場に行き、油絵を描きました。現場主義の人です。貧しい生活の中で淡々と風景画を描き続けましたが、生前は認められませんでした。よく知られているように、印象派の人たちは外の光の中で風景を描きました。光を表現するために、ある人は点描画法を使い、ある人は筆のタッチを大胆にして描きました。シスレーは後者です。今日はその筆のタッチを勉強するために、不透明の白を透明水彩に混ぜて、ガッシュ不透明水彩)のような感じで描いてみました。下書きの線は今日は3Bの鉛筆です。いつもの私の絵は筆ペンの線のタッチで描く絵ですが、今日は筆(絵の具)のタッチで決める絵です。

 

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やってみて、この模写がとても面白く、あっという間に2時間が過ぎました。当然のことながら、ガッシュの方が透明水彩より印象派の油絵を再現しやすいです。これから透明水彩をやるときに、水の波、空の雲、草などは一部ガッシュで描くのもいいかもしれません。ただ、気を付けねばならないのは、高級な透明水彩絵の具、特に固形水彩絵の具に、不透明の白が混じると、あとで透明水彩で描く時に厄介なことになることです。筆のタッチのきいた油絵の模写を透明水彩でやる時は、不透明の白が混じってもいいような使い古しの透明水彩絵の具を使うか、あるいははじめからガッシュの絵の具を使う方がいいでしょう。

 

模写はよい勉強になります。室内で試行錯誤して学んだことを今度は本番の時に現場で活かせます。今日のような猛烈な暑さでスケッチに行けない日には、涼しい屋内での模写がおすすめです。

 

モンバルキャンソン水彩紙 中目 F4

3B鉛筆

ウインザー・ニュートン固形水彩絵の具、ホルベイン ガッシュ

パーマネントホワイト

所要時間:2時間