わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

初春や 渚を歩く 人ふたり (鳥取県米子市 皆生(かいけ)海岸 水彩スケッチ)

20141

 

新春を、昨年と同じく2年続きで鳥取県米子市の皆生(かいけ)温泉で迎えました。私と家内とそれぞれの母親の4人旅です。年末からお正月にかけては穏やかな天気に恵まれました。冬の日本海は「どどん、と荒波」のイメージですが、何と今日の日本海はまるで波のない静かな海です。多分この季節にこんな静かな海は珍しいと思います。この皆生温泉がある皆生海岸は「日本の渚100選」や「日本の白砂青松100選」に選ばれています。


イメージ 1

イメージ 2

 

今回のホテルは温泉街の西の端にありました。去年泊まったのは東の端にあるホテルだったので、2年続きで同じ温泉の東西のホテルを経験したことになります。去年は年寄りへの親孝行のつもりで夕食はカニ尽くしを頼んだのですが、90歳近い年寄りが食べきれなくてフーフー言っていましたので、今回は、食事はやや抑え気味の内容でお願いしました。早くからホテルを予約していたせいか、お正月なのに驚くほど割安の料金でした。しかし、その料金にもかかわらず、温泉の設備も湯の量も、ホテルの規模も、そして料理の内容も実に ☆☆☆☆ (4スター)でした。ここはおすすめです。

 

皆生の海岸は美しい砂浜が売り物です。しかし、この海岸は絶え間ない日本海の荒波による浸食にさらされてきました。そもそもなぜここに砂浜ができたかということを説明する国土交通省の大きな看板が海岸沿いの遊歩道に出ていました。それによると、この皆生海岸の東に一級河川日野川の河口がありますが、昔から日野川の上流域では砂鉄取りが盛んで、山の土の中に含まれる砂鉄とそれ以外の土を分別する作業をするときに大量に発生する土が日野川を下って日本海に堆積し、それが皆生海岸とそれから更に西に延びる弓ヶ浜半島砂州を作ったそうです。海岸の砂は、海の波が荒いので、互いにこすれあって白いきれいな細かい砂になったのでしょう。何とも壮大な人と自然の共同作業の結果、今の海岸線と美しい砂浜ができたわけですね。


イメージ 3

 

一方、安い鉄鉱石を輸入して鉄を生産することが一般的となり、従来のように砂鉄をとる作業をしなくなってからは砂の蓄積が止まってしまいました。その結果、海岸線は荒波を受けて後退をしつづけ、その昔、今よりもっと沖の浜辺にあった昔の温泉施設は海に飲み込まれてしまいました。今はこれ以上浸食が進まないようにと、テトラポットを並べ、離岸堤を建設して、沖合から押し寄せる波の力を弱め、また砂の堆積を促すことを試みています。

 

こんな訳で、ホテルや旅館は海岸線のかなりぎりぎりのところに建っています。ホテルの窓からは北から東にかけて広大な日本海、西に弓ヶ浜半島、北西に島根半島が見渡せます。窓をあけると、渚に打ち寄せる波の音もすぐ間近に聞こえます。浜辺では若いカップルや家族づれが散歩をしています。ここは日本のトライアスロンの発祥の地だそうで、海岸をランニングする人の姿も目立ちました。

 

今日はホテルの部屋から新春の海をスケッチしました。ちょうどスケッチを終わりかけた頃に砂浜を若い二人が楽しそうに歩いて行きました。その二人も一緒に描きました。この1年が、今日の日本海のように、静かで明るい年であればいいですね。


イメージ 4