わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

南京町 中華求めて 人の波   (兵庫県神戸市中央区 南京町中華街 水彩スケッチ)

20141

 

バススケッチで神戸市の南京町中華街を訪ねました。今日は全国的に厳しい寒さ,との天気予報でしたので,服装は,下着を極寒用にし,靴下も2枚はき,セーター,ダウンのベスト,防寒コート,マフラー,手袋,それに使い捨てカイロ,と万全の服装でのぞみました。いつもより少ない15人の参加者を乗せた大型バスは,昼過ぎに神戸元町の中華街の東側入り口に到着しました。交通量が多い場所での臨時駐車ですので,全員すぐにバスを降りて,大きな赤い長安門を抜けて,人混みの中を西の西安門に向かって歩きました。

 
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道の両脇には中華料理の店が軒を連ね,ちょうどお昼時と重なったため,どの店も長い行列ができています。私は,真ん中の南京町広場にさしかかったところで,これはこの人混みではこの通りで絵を描くのは不可能だ,とさっさとあきらめて,南に下って海栄門へ行きました。そのあたりは比較的人の数も減って,何とか絵が描けそうでした。門を抜けて,車が走る通りを横切ると,幸い道の反対側から海栄門と中華街の雑踏を眺めることができる静かな場所がありました。今日はそこにイーゼルをたてました。



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今日は,はじめから「人が多い」と覚悟していました。なので,とにかく今日の課題は「多くの人を描くこと」,と決めていました。黄色い屋根と朱塗りの柱の海栄門を中心にしっかり描いて,それから門から見える人の波を描くことにしました。とにかく寒い中でのスケッチになると予想し,今日は手早く終われるようにF6サイズで1枚のスケッチをしようかな,と鉛筆でおおざっぱな下書きスケッチを始めました。しかし,やはりいつもやっているF6見開きで描かないと,どうも満足できません。それで,またスケッチブックを見開きにして鉛筆の下書きをやり直しました。



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今日は日中の最高気温が9℃でかなり低いのですが,あまり風がなく,意外と快適なスケッチができました。しかし,さすがに都会の繁華街の近くです。通りを行く人たちが多く,その誰もが,ちらっと横目でスケッチを見ていくのがわかります。はじめは,最初に描いた大ざっぱな鉛筆の線を頼りに,筆ペンでの線描きです。これで約1時間。その間はこちらが必死で描いているのが分かるのか,だれも声をかけてきません。しかし,線描きを終えて,パレットを広げて色をつけ始めると,「おおー!」とか「わあー!」とか言う声が時々して,若いカップルや中年の女性が立ち止まって見てくださいました。


「わたしも時々描きたいと思ってるんやけどねえ。なかなか時間がなくて出来へんねえ」という中年の女性の方は,しばらく絵を眺めながら,神戸の震災の体験を話してくださいました。

「僕はほとんど30年でぶりに神戸に来たんですが,神戸はずいぶん変わりましたねえ」とその女性に話すと,

「でも,このあたりはあまり変われへんよ。ちょっと大きなビルが増えたけど」との返事。

「僕が昔知っているのは,兵庫区とか中央区の西側のほうなんですよ。5年ぐらいお世話になったんです」と私。

「ああ,あっちの方はほとんど地震と火事でだめになったわね。みんな大きな建物に建て替わってますし………」と女性。

今回の旅でバスの車窓から見た神戸の風景は,懐かしい古い神戸と震災後の復興を遂げた新しい神戸の入り交じった街の姿でした。

 

最後に,

「絵って,やっぱり基礎がいりますやろ?」とその女性から聞かれたので,

「絵は,うまい下手は気にしないで,自由に自分らしく描いたらいいんですよ!」とお答えしておきました。絵を描くことによって自分の心が解放されたら,それが一番ですよね。技術は,絵を長く続けていれば,そのうち自然についてくると思います。


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今日は約3時間のスケッチでした。帰りに再び海栄門をくぐって人混みの中を歩き,沢山の中華専門店の中の一軒で湯気のでている「肉まん」と「中華ちまき」をお土産に買って,帰りのバスに乗り込みました。


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