わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

鬼ケ島 訪ねてみたら 恋の島 (香川県 女木島 水彩スケッチ)

20139


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今日は、鬼ケ島伝説で有名な香川県の女木島に来ました。JR高松駅瀬戸大橋線の電車を降りると、ホームには海の風が吹いていました。四国の玄関口、高松駅は瀬戸内海に面し、外光を取り入れた明るくさわやかな駅です。その駅から歩いて10分程でフェリー乗り場に着きます。このフェリー乗り場も、大きく、明かるい雰囲気でした。女木島へは片道360円。15分程の船の旅です。フェリーの名前は、「めおん」。高松から女木島、男木島を結ぶので、女の「めん」男の「おん」からとって、「めおん」となったようです。船体は赤と白のツートンカラーで、おしゃれな感じの船でした。



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女木島につくと、瀬戸内国際芸術祭の作品「かもめの駐車場」がすぐに目に入ります。防波堤にかもめの板模型が行儀よく一列に並んでいます。これは風が吹くと、一斉に方向を変えるのだそうです。つまり風向計にもなっているんですね。

 

港の案内所で元気のいい女性から案内を受けた後、今日の目的地である町はずれの段々畑へ向かいました。島の段々畑を瀬戸内海と一緒に描いてみたいと思ったからです。段々畑へは、港から歩いて15分ぐらいの距離です。途中までいったところに住吉神社という神社がありました。幸い大きな木陰もあり、境内から、島の家並みと、瀬戸内海と、その向こうに広がる高松市街が見渡せます。見開きのスケッチブックに描くのにはちょうどいい、と思い、そこでスケッチすることにしました。段々畑は行ってみたのですが、日陰が無く、畑の規模もそれほどではなかったので、スケッチを断念しました。


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105日から瀬戸内国際芸術祭の秋期がはじまるのですが、その前にいろいろな作品を見ておこうという人達で、島の中は結構にぎわっていました。外国人も多数来ています。これが不思議ですよね。瀬戸内国際芸術祭と言うだけあって、外国人が当たり前に島の細い道を歩いています。

 

この島の風景、本当にきれいでした。瀬戸内の島の暮らしがにじみ出るような風景。そして穏やかな海。青く透き通った秋の空。さわやかな潮風。時々観光客が訪れる以外は、ほとんど誰もいない神社の境内。集中して絵を描け、満足しました。島の家並みは描いている途中でつじつまが合わなくなるのでは、と心配したのですが、ちゃんと本物の通りに画面に写し取れたと思います。この絵を描きながら、ふと、安井曾太郎の「外房風景」を思い出しました。大原美術館所蔵の油絵ですが、横長で、外房の漁村の家並みと、海と、向こうに見える陸の風景を描いています。房総の海は瀬戸内と違って、確か白く波立っていたと思います。


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スケッチは午前11時から始めて、午後1時半に終わりました。昼食は島の食堂で取りました。昼食を取る時間が惜しくて、集中して絵を描いて、終わってみると急に空腹感に襲われました。「何が一番早くできますか?」と店の人に聞いたところ、「冷やしです」とのことでした。讃岐では「冷やし」といえば「冷やしうどん」。「中と小がありますが」と言われたので、思わず「中」を頼んでしまいました。出てきたのは本当にうどんの麺だけ。それがたっぷり氷水につかっています。薬味は細切りのネギだけ。そして麺つゆ。いたってシンプルです。これで350円。しかし、島とは言えどもさすがに讃岐です。うどんは腰があって美味しかったです。ただし、ただでさえ腰の強い讃岐うどんが氷水でしめてあるので、ますます固くなり、うどんを口にいれて、噛むのではなく歯で食いちぎり、そのまま噛まずに食道から胃に流し込む感じです。腹いっぱいうどんを詰め込んで満足しましたが、さて栄養学的にはどうなんでしょうね? 



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帰りのフェリーを待つ間、朝出会った案内所の元気な女性が、「絵を見せてもらってもいいですか?」と言ってこられたので、「どうぞどうぞ」と見せてあげました。「これ、2時間半でかいたん? 筆達者やなあ」と感心されました。絵を描いていて、「筆達者」といわれたのは初めてです。もう一人の男性の職員の方も一緒に絵を見てくださり、その後しばらく島の景色のことでお話を伺いました。「この島で一番の見どころは、すぐそこの恋人岬ですよ。この岬を見たら、他の場所は見んでもいいよ。ベニスやエーゲ海にも負けとらんよ」と絶賛されるので、「それじゃあ、フェリーの時間までまだあるので、ちょっと見てきます」と出かけました。


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船着場からほんの10分ほど歩くと、その恋人岬に来ました。岬といっても、小さな砂州です。その先端に行ってみると、なるほど恋人岬です。若いカップルが座って楽しそうに話していました。砂州の先端から眺める海も素晴らしいです。有名な屋島も目の前に大きくその台形の姿を見せていました。女木島から男木島へ向かう「めおん」も目の前の海を横切ります。ああ、ロマンチックな風景ですね。ここ女木島は、鬼ヶ島ではなく、実は恋の島でした。


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