わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

島暮らし 自然が豊か でも生活が (岡山県笠岡市 真鍋(まなべ)島)

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青春18きっぷ岡山県笠岡市に来ました。JR笠岡駅で電車を降りて、少し海の方へ歩いて笠岡港へ。最近新しくなったばかりに見える連絡船待合所で切符を買い、高速船に乗って笠岡諸島の真鍋島へ渡りました。この高速船に乗ると笠岡港から白石島、北木島を経て約45分で真鍋島に到着します。真鍋島は古い漁村の家並みが多く残り、その姿が写真や本で紹介され、笠岡諸島の中では一番絵になる島と言われています。白石島や北木島にはずっと以前、30年ぐらい前に一度来たことがあるのですが、真鍋島を訪れるのは今回が初めて。前から私にはこの島でスケッチすることに憧れのような気持ちがありました。

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今日は平日のためか、朝9:10発の高速船の乗客は比較的少なく、9:54着で真鍋島で下船したのは数人でした。港は静かでとてもいい雰囲気です。予想通り、海岸沿いの家並みは昔ながらの港の風景を見せ、ひなびた感じです。船着き場には早速かわいい猫がお出迎え。通りにも沢山猫がいます。ここは猫の島としても知られているようです。猫を構って遊んでいたい気持ちがわきましたが、早くスケッチを始めないと帰りの船の予定があるので、猫は後回しにしてスケッチ場所をさがして歩き始めました。

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海岸から山の方へ向かって少し行くとすぐに笠岡市立真鍋小学校と中学校の比較的大きな建物が目の前に現れました。ちょうど校舎横の体育館のそばに植えられている桜の木が満開です。春休みなのか、子供の姿はなく静かです。校庭を横切ると正門があり、正門の横には今時めずらしい二宮尊徳の像がありました。正門と校舎の玄関をつなぐ坂道からはこの真鍋中学校の校舎全体がよく見えるので、ここから校舎をスケッチすることにしました。中学校は教職員の方が中におられて、声を掛けると中を見せていただけるということでした。実際何人かの観光客が中に入って行きましたが、私はまずスケッチが先と思って急いでイーゼルを立てて、スケッチブックを置いてスケッチを始めました。この校舎は昭和24年に造られたそうで、木造の懐かしい雰囲気です。あの夏目雅子が出演した映画『瀬戸内少年野球団』のロケにも使われました。多分この島で一番大きな大事な建築物でしょう。土台の石垣の上にしっかりと立っています。

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時間が無いので集中して急いで2時間でスケッチ。スケッチが終わったら中学校の中を見せて貰おうと思っていましたが、教職員の方が早めに校舎の入り口を閉めて帰ってしまわれたので、今回残念ながら中を見ることは出来ませんでした。この中学には何人ぐらい生徒がいるのでしょう。みんな幸せな学校生活を過ごしているかな。先生は笠岡から毎日船で通勤されているのでしょうか。離島勤務はさぞ大変でしょう。ご苦労様です。
 
スケッチが終わり、帰りの午後1時半の船まであと1時間あったので、食堂をさがしながら港の近くを散策しました。あまり人がいません。狭い路地に沿って、今にも崩れそうな家屋があり、閉鎖した旅館や食堂などもありました。人の住んでない家もあり、どうしても全体に寂しい感じが拭えません。この古い港の家並みはきれいで貴重な観光資源になると思うのですが、個人の力でこれを維持するのはとても難しそうです。といって、行政にもこれを支援する十分な財政的な余力はないはずです。あいにく、私が歩いたところには昼ごはんを食べさせる食堂のようなものはなく(予約でいっぱいの小さな店は1軒ありました)、食べ物や土産物を売っている店もありませんでした。今の状態では、折角観光に来ても島にお金を落とすのは容易ではありません。島の人口も年々減少し、少子高齢化は全国を先取りして超高速で進んでいます。さあ、この島の貴重な景観、いつまで保てるでしょうか。まさに時間との戦いです。

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地元の人と会話をしたら、「ここには猫しかおらんよ」との話でした。以前は海岸でノリなどが採れたのだそうですが、住民が減って生活用水が海に流れなくなったせいか海が次第にきれいになり、皮肉なことにこのきれいになった海にはノリが生えないのだそうです。確かに海の中をのぞいて見ると、いままで頭に描いていた瀬戸内海のイメージとは異なり、水の透明度が高く、浅い海底の砂の上に波に洗われて出現する縞模様がきれいでした。


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この真鍋島やその他の笠岡諸島、やっぱり何とか現状のまま守らなければだめですね。貴重な文化遺産であり、瀬戸内海を代表する美しい景観の一つだと思います。



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ラングトン水彩紙 中目 F6 見開き
青墨筆ペン
ウインザー&ニュートン固形水彩絵の具
所要時間:2時間