わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

モジリアーニ「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」模写

20138

 

今日は未明から大雨。夜が明ける時間が来ても外は暗いままで、雨が屋根瓦を打つ音がいつまでも聞こえていました。こんな日は外でスケッチは出来ません。諦めて、ゆっくり起きて、遅めの朝食を食べて、次のスケッチ旅行のための筆やパレットの準備をしました。今日のような時間にゆとりがあるときには、スケッチ用紙に直に触ってその手触りを確かめたり(あまり触ると、指先の脂分が紙について、よくないようですが)、紙の厚さや、紙の持っているホワイトやナチュラルの本来の色を確認したりと、それなりにのんびり楽しく、「至福の時」をもつことができます。自分の好きな絵具を見て、その減り具合を確認するのも、休みの日には大事ですね。

 

今日は、以前に練習で描いたモジリアーニの絵を載せます。モジリアーニの妻、ジャンヌの絵です。よく知られているように、モジリアーニが35歳で結核で死んだ翌々日に、パリのアパートの6階から身を投げて亡くなりました。19201月のことです。極貧の中で死んだモジリアーニと身重な妻の自殺は、いやがうえにも当時のパリ中の噂になったことでしょう。

 

さて、モジリアーニの人物画は特徴があるので、描きやすい、と思いがちですが、実際、模写をしてみると、もとのモジリアーニの絵の中の人物の表情がうまく真似できません。人物って難しいですね。特にモジリアーニの人物の長細い顔の全体のバランスと、少し首をかしげた、そのかしげ具合は、人物の表情を左右する大事な要素であることが分かります。それと髪の形と全体の髪の豊かさも雰囲気を決めます。もちろん目や口元も大事です。「ジャンヌの肖像」を載せている画集や本が私の本棚にはいくつかあるのですが、写真撮影のカメラ・照明と印刷の具居なのか、色調が本によってかなり違っています。ジャンヌの顔の色が白かったり、薄赤だったりするのですが、この辺りの色の具合が決定的に人物の表情に影響しますね。いかにして元の絵を再現するか、画集を出版するという仕事は、本当はすごく大変なことなんだと分かります。

 
イメージ 1



模写をしてみると、元の絵とはかなり様子が違ってしまいました。しかし、出来上がった絵は、また新たな表情をもってこちらを見つめ返しています。モジリアーニの絵の真似なんですけど、できた絵はそれなりに面白いです。やはり天才の絵の模写は勉強になります。