わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

石段を 数える声の 絶え間なし   (香川県琴平町 金刀比羅宮 旭社 水彩スケッチ)

20131月 (20121月のスケッチより)
 
こんぴらさん」と呼ばれて親しまれている讃岐の金刀比羅宮に来ました。今回は、旭社を描くというバススケッチに参加しました。1月は寒さが厳しいという理由なのか、参加者が少なく、いつもの大型バスに代わり、小型のバスでの旅となりました。小型バスは、横風に弱いようで、瀬戸大橋を渡るときには車体が風にあおられてかなりふらふらしました。さて、こんぴらさんにお参りするには、車以外にもいくつかの方法があります。まずJRで来る場合は、土讃線(どさんせん)琴平駅で下車します。この琴平駅ですが、洋風建築のきれいな駅です。こんぴらさんを中心に広がる門前町にこのモダンな駅は意外な組み合わせで、降りて眺めてみると「ええー」と思わせるのですが、昭和の初期に作られた古いもので、国の登録有形文化財となっています。次に、高松築港駅から出ている琴平電鉄(琴電ことでん)で琴平駅まで来る方法があります。琴電は昔からスケッチのファンが多く、その古い電車や線路が、沿線風景とともに、よくプロやアマチュア画家により描かれました。そして最後に紹介するのが、丸亀港からスタートするこんぴら街道です。沢山ある讃岐金毘羅参詣道の中で、江戸時代にもっともにぎわったのがこの丸亀港からの街道でした。
 
前回、スケッチした丸亀城をすぐ近くに眺めることができる丸亀港には、太助灯篭という江戸の豪商が寄進して作った青銅製の灯篭が建っています。 江戸時代にはこんぴら参りが庶民の憧れだったようで、「こんぴら船々 追風(おいて)に帆かけて シュラシュシュシュ まわれば 四国は 讃州那珂の郡(さんしゅうなかのごおり) 象頭山 金毘羅大権現 一度まわれば」という有名な歌も出来て、多くの民衆がこの港からこんぴらさんを目指しました。現在は、「美しい日本の歩きたくなるみち500選」の中にも、「こんぴら街道」(14km)として選ばれています。私もいつかこの道を歩いてこんぴら参りに行きたいと思っています。

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さて、金刀比羅宮の本宮まで上り詰めるちょっと手前に旭社という立派な建物があります。重要文化財です。かの遠州森の石松が、こんぴら参りに来て、ここが本宮であると勘違いして、ここを拝んだだけで帰ってしまったという逸話が残っています。今日はここでスケッチです。この旭社、近づくと壮大な建物で、どこから描いていいのやら悩みます。細かい彫刻も施されていて、これを詳しく描く力も時間もないと、近景のスケッチはあきらめました。一段石段を下がると、人込みを何とか避けられる広いスペースが見つかったので、そこでスケッチ開始です。人込みに惑わされないようにとにかく建物に集中しようと夢中で描きました。


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3時間ほどのスケッチ時間のうち、1時間ほどは場所探しで使ってしまったので、かなり必死のスケッチでした。何とか着彩まで終わって、あとで自分の絵を見てみると、人物が一人も描かれていません。本当は絶え間のない参拝客で石段が溢れているのですが、とにかく建物を描くことで精いっぱいだったのと、新春の神社の厳かさを描きたいという気持ちが人物を描かせなかったのかもしれません。


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最後に荷物を片付けて、今度は元のバスの待つ場所まで長い石段を下ります。下りは早いだろうと甘く見ていたのですが、これが長い長い。バスの出発時間に間に合わないのではないかと慌てました。こんぴら参りをされる皆さん、石段が長いですから、ゆっくりゆとりをもって上り下りしてください。歩き疲れたら途中で名物の飴も売っています。石段を下りきったところには美味しい讃岐うどんの店も待っています。

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今日は構図が難しく(だいたいお寺や神社は難しいです)、時間配分も下手でうまく描けなかったと、ガックリして帰宅。夕食時に家族に絵を見せたら、「うまいうまい」と予想外に誉められました。絵というのは不思議なものですね。今日の絵は確かに気合が入っていたので、それが多少は伝わるのでしょうか。