わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

初時雨(はつしぐれ)

2022年11月16日

 

「雲間より光の帯や初時雨」

 

今日の季語は「初時雨」。今日の午後、少しだけスケッチをしたくなり備中国分寺へ。しかしあいにく車の運転中に小雨が降り出しました。現地に着くと雨は上がったもののぐんぐん寒くなりました。1時間ほどスケッチをして、あとは自宅で続きを描くことにして早々と切り上げました。

 

スケッチ道具をしまって駐車場までの帰り道。雲が切れて、間から太陽の光がきれいな帯状に地上に注いでいるのが見えました。その光景を見て一句。それが今日の句です。

 

『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「時雨・初時雨」を見てみました。

 

「晴れていると見る間にさっと降り、降ると見る間に数分で止んでしまう、初冬の局地的な通り雨。本来は降るのは北陸、京都など山沿いの地の地域の現象だが、最近では一般的に冬のにわか雨についても使われるようになってきた。」

 

「初時雨」を季語にした句を2つ。

 

「初しぐれ野道はすぐに山の道」        落合水尾

「大原女(おおはらめ)の眉は山の香初しぐれ」 渡辺恭子

 

第1句。素直な風景描写です。状況がわかりやすい。野の道を歩いていたらすぐに山に差しかかった。初時雨が降っている。ただそれだけの描写なのに余韻がある。第2句。京都大原の大原女。山のものを売りに来たのでしょう。眉に山の香りがするという描写、何とも情緒があります。2つの句とも時雨をしぐれとひらがな表記にしたところにやさしさが感じられます。こういうところも大事なんでしょうね。