秋の暮
2022年9月9日
「秋の暮壊れてきしむ木椅子かな」
英国のエリザベス女王が亡くなられました。96歳。王位に就かれたのが1952年で26歳の時。それ以来今日まで在位70年。まさにイギリスの第二次世界大戦後の繁栄とともに生きた人です。これで一つの時代が終わったという感慨。ご冥福をお祈りします。
さて今日の季語は「秋の暮」。日没が早くなり、次第に秋めいてきました。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「秋の暮」を見てみました。
「春の暮と同様、芭蕉時代には暮秋の意味で使われていた。秋の夕方の意味のみであると定めたのは虚子である。秋の夕暮については新古今集の三夕の歌、すなわち『さびしさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮 寂蓮』など以来、日本の美意識の代表となっている。」
日本の美意識の代表となっている季語で今日の私の句は、ちょっと申し訳ないのですが、ちょうどこのタイミングで椅子が壊れたのでこの句となりました。
他に「秋の暮」を季語とする句を3つ選びました。
「かたちなきものまで暮れて秋の暮」 八田木枯
「木も人も似し影をもち秋の暮」 神尾季羊
「点滴の一滴づつの秋の暮」 草間時彦
第1句。かたちなきものとは何でしょうか。空気か、それとも自分の心情かと思いますが、いろいろ想像してしまいます。第2句。こんな瞬間もあるのでしょう。第3句。こんな日常でも俳句になると教えられます。
今日は台所のトマトをスケッチしました。
今日のスケッチ
アルシュ水彩紙 中目 F6
鉛筆とシュミンケ水彩絵の具およびホルベイン水彩絵の具