ツワブキ
2022年10月28日
「ツワブキや蕾ゆたかに膨張す」
庭のツワブキの蕾が膨らんでいます。というか昨日まで膨らんでいるとおもったら、もう今日は開花していました。これからしばらく花と葉を楽しめます。スケッチするのにもとてもいい花です。切り取って花瓶にさしてスケッチするよりも、庭や畑に咲いているのをそのままスケッチしたほうがいいです。立ち姿がいいと言うのでしょうか。秋から冬にかけて生き生きと目立つ花です。
『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「石蕗(つわ)の花・石蕗(つわぶき)」を見てみました。石蕗は冬の季語です。
「キク科の常緑多年草で、暖地の海辺に自生するが、艶のある葉と、晩秋から冬にかけて咲く黄色の花が美しいことから、観賞用に植えられる。語源はツヤブキだといわれ、茎は食用になる。『石蕗』だけでなく『石蕗の花』『石蕗咲く』などの表現がのぞましい。」
「石蕗」を季語にした句を一つ。
「石蕗咲いていよいよ海の紺たしか」 鈴木真砂女
何も言わなくてもツワブキの黄色と、それが咲いている海岸近くの情景が目に浮かびます。ツワブキの花の黄色と海の紺色とは補色関係に近いので、お互いに強く引き立て合うことを詠んでいます。少ない言葉で色の対比とツワブキの咲いている場所の状況を見事に示している句ではないでしょうか。