わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

秋声(しゅうせい)

2022年9月21日

 

「秋声や色づき初めし里の木々」

 

台風14号が去って冷たい空気が入り込み、今朝は寒さで目がさめました。これで厳しかった残暑も終わりでしょう。秋が来て嬉しい気持ちと淋しい気持ちと両方があります。

 

イギリスのエリザベス女王の葬儀の中継を見ていて、イギリス国民の喪失感が伝わってきました。世界ではロシアの戦争や新型コロナの問題がまだまだあるし、また日本国内も明るい話題が少なく、何となく気持ちの沈みがちな秋になりそうです。俳句はそういう気分をすこしでも変えてくれるのではないかという希望をもって、これからも詠み続けていきたいとおもいます。

 

今日の季語は「秋声」。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「秋の声・秋声」を見てみました。

 

「雨風、葉のさやぎ、虫の音などのほか、具体的な物音や声でなく主観的に聞き取った秋の感覚も声に喩えて呼ぶ。唐の詩人欧陽修の『秋声賦』による季語であるが、似たものに『霜の声』(冬)がある。」

 

「秋の声」を季語にした句を2つ。

 

「白壁の向う側から秋の声」      渡辺鮎太

「秋の声振り向けば道暮れてをり」   豊長みのる

 

第1句。白壁伝いにみえる向こうの景色に秋を感じます。白壁を入れた情景がスケッチになりそうです。第2句。虫の音が大きくなって、ふと振り向いたらもうあたりは暗かったという、いかにも秋らしい句です。