わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

長月

2022年9月3日

 

「長月や母に付き合う捜し物」

 

今日の季語は「長月」。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「長月」を見た。

 

「長月は陰暦九月、夜が次第に長くなる夜長月の意味。」

 

9月になって涼しさが増した。そしてこのところ母の捜し物が増えている。財布、保険証、印鑑、病院の診察券等々。毎日の三種の神器である補聴器、入れ歯、マスクさえおぼつかない。これを探して準備するのに家族は毎日相当な時間とエネルギーを費やすことになる。大事なものは決まった箱に入れるようにしているのだが、なかなかそのとおりにしてくれない。もともとの母親の性格もあるのだが、それに加えて高齢化の影響が大きいと思う。明日は我が身か、と気になる。

 

「長月」を季語にする句を3つ。

 

「日の匂ひして長月の書店街」       丹羽啓子

「菊月の日向に細き雨至る」        三田さえ子

「菊月や備後表の下駄買はむ」       鈴木真砂女

 

第1句。ちょっと暑さも落ち着いた書店街。夏の日の匂いが古本に残っているのか。第2句。長月は菊月ともいう。女性らしいやさしい眼差しが感じられる。第3句。備後といえば広島県東部。福山、尾道あたりか。尾道だと今でもこんな下駄を売っている店がありそうだ。