わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

稲の花

2022年8月25日

 

「稲の花匂いゆかしき朝の風」

 

今日の季語は「稲の花」。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「稲」を見た。

 

「稲作の歴史ははるか太古にさかのぼるが、いまもなお日本人は米を主食とし、稲作が文化の根底を支えている。夏の間青々としていた稲田が金色に変わり収穫を待つ風景は、日本人の郷愁を誘う。」

 

ちょうど今、岡山市近郊の田んぼでは稲の花が開花している。咲いているのは一番暑い頃のほんの短い期間で、その間に自家受粉し、いよいよ米が成熟を始める。稲の花の匂いは何とも言えない懐かしい感じの匂いだ。それが風にのってあたりに漂う。

 

「稲の花」を季語にした句をさがした。

 

「田を渡る風の匂へる稲の花」     稲畑汀子

「大川を渡れば故郷稲の花」      沼尻ふく

「南無大師石手の寺よ稲の花」     正岡子規

 

第1句。わかりやすい簡潔な句。誰でも詠みそうな状況を詠んだ。しかし、なかなかこうは詠めない。第2句。稲の花は故郷とつなげて詠まれることが多い。第3句の子規の句もそうだ。子規の地元松山の石手寺の田んぼを詠んでいる。稲や稲の花は日本人のこころの拠り所なのだろう。