わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

秋めく(初秋)

2022年8月24日

 

「秋めくや瓦を濡らす夜半(よわ)の雨」

 

今日の季語は「秋めく(初秋)」。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「秋めく」を見た。

 

「秋を三期に分けた最初の一ヶ月。時期としては八月ということになるがこれは実感からはなかなか遠い。昔の人は暑さの中で秋の訪れの兆しを待望していた、そうした『さきがけ季語』なのだと理解しておきたい。」

 

昔も今も人々が秋の訪れを待つ気持ちに変わりはない。今年のように6月はじめから高温が続いた夏は特にそうだ。しかし、毎朝散歩をしながら観察していると、確実に季節は夏から秋に移っていることを実感する。雨が降る日も増えてきた。

 

「秋めく(初秋)」を季語とした句をさがしてみた。

 

「鎌倉をぬけて海ある初秋かな」     飯田龍太

「秋めくや巣箱を歩く鳥の音」      横山利子

「秋めくと猫に眉毛を描く女」      飯田綾子

 

第1句。鎌倉は絵になる、というか、俳句になる土地柄だ。鎌倉を詠んだ句は多い。鎌倉の町から海を眺めた絵のような風景が浮かぶ。第2句。秋になるとまた鳥が帰ってくる。巣箱の準備も忙しくなる。秋への期待。第3句。これはどういう心境か。やや不可解だが印象に残る句だ。猫の恋の季節がはじまるのか。