わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

残暑

2022年8月23日

 

「やーれやれ母のため息残暑かな」

 

今日の季語は「残暑」。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「残暑」を見た。

 

立秋となってもまだ暑さは厳しくこれを残暑という。二十四節気処暑(8月23日頃)はこの時期にあたり、暑さが処(や)む意味。しかし、実際、8月中はまだ暑さが残っているのである。」

 

確かに今日はとても暑い。湿度があるので蒸し暑い。近所の家を壊す音がその暑さに拍車をかける。工事に携わっている人は大変だ。うちの近所の家は築30年ぐらいの家が多い。皆が一斉に家を建てたので、新築時には明るくきれいな団地だったが、今は家を売ったり建て替えたする人が結構な数いて、ところどころで家の解体作業が進む。家は人生で最大の買い物だが、これも建物によっては30年もたないことが分かる。問題は屋根の雨漏りだそうだ。

 

「やーれやれ」とため息のでることは多い。暑さだけではない。世界の政治も日本の政治も、社会も経済も、なんだかため息のでそうなことばかり。鬱な気分にならないよう、また日々気持ちを整えるために、毎日の俳句は役立つ気がする。

 

「残暑」が季語の句を紹介する。

 

「草籠に秋暑の花の濃紫」     飯田蛇笏

「夕日さす漬物樽や秋暑し」    内田百間

「松風の価をねぎる残暑哉」    正岡子規

 

第1句。飯田蛇笏の句。残暑といってもきれいな句。この濃い紫の花はなんだろう。女性が農作業を終えてあぜ道で休んでいる光景が頭にうかぶ。第2句。内田百間の句。生活感の中にもユーモアが漂う。漬物の匂いまでただよってきそうだ。百間さんがこんな句を詠んだと知りうれしくなる。第3句。松の木の間を風が渡ってくるのにこの暑さ。よく分かる。子規の句のうまさ。