わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

木槿(ムクゲ)

2022年8月16日

 

「雨脚に白花落とす木槿かな」

 

今日の季語は「木槿ムクゲ)」。秋の季語だ。夏の盛りを過ぎたらしく、激しい雨の日が増えた。木槿が今が盛りと咲いているが、強い雨で花を落とす。もともと一日花なので、朝咲いて夕方には花が終わる。夏から秋にかけてサルスベリの花と並んで季節を彩る花だ。

 

『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)の「木槿」を見る。

 

「庭木や垣根として植えられる落葉低木で、初秋たくさんの花をつける。白のほか薄紅、薄紫、しぼり、花の底部だけが赤い底紅などいろいろな種類があるが、朝開いた花は夕方にはしぼむ一日花」。

 

我が家には白の他に薄紫色が咲いている。アオイ科・ハイビスカス属。木槿は韓国の国花だ。日本には平安時代に渡来した。

 

木槿」を詠んだ句はとても多い。その中から三句。

 

「この窓に雨美しき白木槿」    吉屋信子

「鎌倉の辻の多さよ木槿垣」    星野立子

「夕暮れの一本道の木槿かな」   小川軽舟

 

いずれの句も民家に咲く木槿がテーマだ。第1句。窓のすぐ外に雨に濡れる白木槿が立っている。風情のある白い木槿の花に作者が感動しているのが分かる。第2句。木槿が咲く時期に鎌倉の町をのんびり歩いてみたくなるような句。鎌倉の雰囲気が伝わる。第3句。夕暮れの田舎か都市の郊外の一本道を連想する。これもきれいな情景だ。この3つの句とも、その情景を水彩画に描きたくなる。いつかそんな水彩画のような情景を詠めるようになりたい。