わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

稲妻(稲光)

2022年8月20日

 

「稲妻やコーヒーカップの白き肌」

 

今日の季語は「稲妻(稲光)」。今日の午後、雷が鳴り空が急に暗くなった。ぽちぽちと雨が落ちてきたので、洗濯物を取り込んで本格的な雨を待った。しかし、雷雲はそれほど大きく発達しないで行き過ぎてしまった。机の上でコーヒーカップを眺めながら、空模様を気にして過ごした午後。確実に季節は動いている。

 

『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「稲妻」を見た。

 

「雷鳴を伴わない雷光のこと。雷鳴の多い年は豊作となるという俗説があり、雷雨のあと稲がはらむためだとして、雷光を稲の妻、稲の殿、稲交(いなつるび)などと呼ぶ。雷は夏の季語にもかかわらず、稲妻は秋の季語とされた。」

 

なるほど、稲作農家にとっては有り難い稲妻なのだ。

 

「稲妻」を季語にした句を紹介する。

 

「稲妻にへなへな橋を渡りけり」   小林一茶

「稲妻や提灯多き野辺送り」     正岡子規

「稲妻にこぼるる音や竹の露」    与謝蕪村

「教育的指導拒めば稲びかり」    櫂未知子

 

第1句、一茶の句。つい笑ってしまいそうになるユーモア。やはりこれがいい。第2句、子規。子規らしいリアリティ溢れる世界。第3句、蕪村。きれいな情景で水彩画になりそうだ。第4句。現代の俳人の句。「稲妻」を季語にする多くの例句の中で異質。この人の強い生き方が詠まれていて印象的。

 

今年のコメの豊作を祈る。