わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

新涼(しんりょう)

2022年8月18日

 

「新涼や細(ほそ)路地めぐる豆腐売り」

 

今日の季語は「新涼」。だいぶ涼しくなった。「新涼」とは秋になってから感じる涼しさのこと。『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ソフィア文庫)で「新涼」を見た。

 

「『涼し』が夏の季語で、『新涼』が秋の季語。秋の季語が『新涼』とは矛盾しているようだが、『涼し』は暑さの中で一点の涼しさを心理的に求めて使われていると考える。本当に涼しい季節は秋。」

 

なるほど、そういう訳で「新涼」が秋の季語なのだ。さて、今日の豆腐売り。この近所では1週間に1度ぐらい軽トラックの豆腐屋さんが豆腐りのラッパを鳴らしながら売りに来る。多分ラッパの音は録音だろう。なかなかおいしいという近所の評判だが、まだ買ったことがない。私が子供の頃はリヤカーを引いて豆腐屋さんが来ていた。もちろん本物のラッパを吹いていた。その他、パン屋さん、金魚屋さん、焼き芋屋さん、竹竿売、紙芝居などいろいろあった。竹竿売や焼き芋屋さんは今でも来る。こういう商売は何かなつかしい。季節感もあるので俳句にしやすい。

 

「新涼」を季語にした句を3つ。

 

「新涼や起きてすぐ書く文(ふみ)一つ」    星野立子

「新涼や手織木綿の肌ざはり」         石田あき子

「新涼やたしなまねども洋酒の香」       中村汀女

 

第1句。星野立子の句はとても素直な日常の描写。この人の生活が分かる。第2句。石田あき子。これも誰もが日常生活で感じること。やはり素直な句だ。第3句。中村汀女の有名な句。新しい気持ちで新しい季節を迎えたいという作者の気持ちがうかがえる。