わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

“地獄坂”を 休まず一気に 登る人

2022年5月5日

 

 

昨日の朝の散歩中にすごい人に出会った。というか、再会した。

 

昨日は少し時間にゆとりがあったので、我々夫婦が“フルコース”と呼んでいる一番長い散歩コースを歩いた。全行程で4500歩あまり。時間は40〜45分かかる。歩きはじめは平坦な道だ。やがて道は坂を下る、長い下りだ、そして田舎の農道に出る。そこはほぼ平坦な道で、田んぼや畑の中を歩く。たくさんの野鳥や昆虫に出会うのもこの辺りだ。やがて散歩道が終盤さしかかるころ、急登りになる。我々が“地獄坂”と呼んでいる坂だ。坂は2段になっていて、特に最初の坂がきつい。たいてい一度途中で立ち止まって呼吸を整えて、来た道を振り返る。

 

昨日は農道の入り口辺りではるか前方におばあさんの姿を見つけた。腰を曲げて歩いている。すぐに追いつくだろうと思って歩いたが、なかなか距離が縮まらない。地獄坂にさしかかる辺りで、おばあさんは近所の男性に出会って立ち話を始めた。それで我々もこの人に追いついた。「お早うございます!」と挨拶すると、おばあさんは立ち話を終えて我々と一緒に歩き出した。だいぶ以前、多分2年ぐらい前に農道の入り口付近の畑で、通りがかった我々にきゅうりやなすをたくさん分けてくれた人だ。

 

「お元気ですね!」

「いや、もう91じゃからな。なかなか歩けんですわ」

そう言えば、前会って会話した時は89と言っておられた。

「散歩されてるんですね?」

「ええ、毎日な」

「この坂を登って?」

「そうです」

 

そう言って、このおばあさんは全く休まずわれわれと同じ速度で坂を登った。登りきっても呼吸が全く荒くない。そのまま歩き続ける。我々は週2、3回しかフルコースを歩かないので、この坂を登るのも週2,3回だ。それをこのおばあさんは毎日登るらしい。この坂を登って、ぐるりと回ってもとの農道の自分の畑にもどれば相当な距離になる。農作業をされている姿を時々見かけるが、タフだ。広い畑に座り込んでいろいろな種類の野菜を一人で育てている。他の家族は他の場所で稲作や桃・ぶどうの世話をしているらしい。こんな人がいるのは驚きだし、励みになる。地域の普通の人がすごい。

 

今日は散歩道で出会う雌猫ミケちゃんをスケッチした。雄のブレッド君といつも一緒にいる仲良しだ。この子達もすごい。身一つで暑い夏や寒い冬を乗り越える。毎朝の散歩道で教えられることがとても多い。

 

今日のスケッチ

ホワイトワトソン水彩紙 F2

鉛筆とウインザー・ニュートン固形水彩絵の具