わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

カンナの花が咲きました

2021年8月24日

 

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今年の春に種まきしたいくつかの植物の中で、一番遅れてカンナの花が咲きました。大きな種10個ほどを一つずつ別々のビニールポットの培養土に植え、そのうち7つが発芽。そのまましばらく大きくした苗を鉢と地面に移植しました。今回咲いたのは2本ずつ鉢植えした4本のうちの一つです。鉢は比較的大きい鉢ですが、2本を一度に植えたのがどうだったのか、心配しながら様子をみていました。先週ぐらいからつぼみが目立ち始め、2、3日前から真っ赤な花を咲かせています。地植えした苗3本はまだこれからつぼみをつけるところです。植物全体にまだ高さが足らない気がしますが、鉢だとこのぐらいなのかもしれません。農家の畑に生えているカンナはもっとドーンと高くのびています。

 

このカンナは昆虫たちに人気のようで、小さなバッタが葉っぱや花を食べに次々にやって来ます。このバッタたちも可愛いので、殺さないでつまんで他の場所に放しています。そして鉢の下を見るとアリの大行列です。カンナの花の蜜がお目当てです。

 

カンナ(カンナ科・カンナ属)は南アメリカと中央アメリカの熱帯地域の原産。日本では江戸時代から栽培されています。『花おりおり』(湯浅・矢野著、朝日新聞社)よると、戦後の食料難の時代、カンナの花蜜は子どもにとってうれしい甘味源だったそうです。私は蜜をなめた記憶はありませんが、妻は子どものころ吸って甘かったと言っていました。

 

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このカンナの花には何となく昔からあこがれがありました。「デッサンの天才」と呼ばれ、わずか22年と5ヶ月で早逝した村山槐多(むらやまかいた)の「カンナと少女」(大正4年、水彩)が頭に浮かんできます。この絵を収録している『芸術新潮』(1997年3月号、新潮社)には、「暑い夏の午後、カンナ咲く小杉家の庭で槐多のモデルになった隣家の少女は、出来上がった絵を見て『私の顔はこんなに赤くない』と怒ったという」との説明があります。

 

カンナの赤が乗り移ったような少女の赤い頬、手、浴衣、帯。前を見つめる少女の表情、特に目、そしてひざの上に揃えた手が何ともいえずいいです。こんな力強い、表情たっぷりの人物画、大胆な水彩画が描けたらいいなあ・・・。やはり村山槐多は天才です。

 

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