わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

英単語メモ – renovation(リノベーション)と innovation(イノベーション)

2021年6月29日

 

車でスーパーに買物に行く途中、県道沿いに「リノベーション リノベ屋」と大きく書いた看板が立っています。面白いので写真を撮りたいと思ったのですが、運転しながらの写真撮影はできないので諦めました。最近の人はこれが何屋さんなのか分かるのでしょうか? これは家の修理屋さんの看板だと後で気が付きました。

 

リノベーションという言葉、最近よく耳にするようになりました。岩波の広辞苑(第7版)によると、

「リノベーション (renovation) 修復すること。改善すること。特に、建物・住宅を大がかりに改修すること。」

とあります。

Advanced Favorite English-Japanese Dictionary でもとの英単語を調べると、

「Renovation〈名詞〉修復、改修」

と至って簡単な説明でした。

 

リノベーションとよく似た単語でイノベーションもよく目にします。これは大学や産業界などで最近よく使われています。広辞苑(第7版)には次のような説明がありました。

イノベーション (innovation) ①刷新。革新。新基軸。②生産技術の革新のほか、新商品の開発、新市場・新資源の開拓、新しい経営組織の形成などを含む概念。シュンペーターが用いた。日本では狭く技術革新の意に用いることもある。」

Advanced Favorite English-Japanese Dictionary では、

「Innovaton 〈名詞〉①刷新, 革新, 新しいものの導入. ②新しく導入したもの. 新しい手法.」

と書かれていました。

 

今の世の中で忙しく飛び交うこの二つの言葉。リノベーションとイノベーション。偶然似たような単語なのですが、言葉の意味するところは真反対に近い。

古いものを大事に使いたいという気持ちのこもったリノベーション。もう一方は人類の定めなのでしょうが、科学技術の進歩で生活を豊かに、という見果てぬ夢を追うイノベーション

 

日本の社会は全体としてちょうど二つの言葉が比較的バランスよく場所を占めているように感じます。成熟社会になったせいでしょうか。最近テレビを見ていると、地方の古民家再生や地域おこし、農家の生活や庭づくりの紹介などの番組がやたら多いと思います。これ、みんな日本流のリノベーションではないでしょうか。建物だけでく、心の修復も含めて・・・。ヨーロッパでは、イギリスもフランスも、ドイツも、新しいものを開発し、一方で古いものを大事に保存する意識がもっとはっきりしていて、両者のバランスがうまくとれています。

 

もう果てしない技術革新の競争に疲れたという思いも多分あります(特に、これまでそれを牽引してきた我々団塊の世代には)。それによって経済が動いても、人はそれで本当に幸せになれるのか・・・。自動運転の電気自動車が道路を走って、ロボットが全部食事を作ってくれて、掃除も洗濯もしてくれて、職場や学校に行かなくても家でパソコンやタブレットで仕事も勉強もできて・・・。そんな近未来を想像した時に、やっぱりふと心が向かうのは、昔ながらの田舎の野山、静かな海と島々、古い家の周りの庭や畑だったりするのではないか。そして、最後には(死ぬ前には)やはり家族や親戚や友人や近所の人たちとのつながりが人生で一番大事だとしみじみ感じるのではないか。

 

コロナ禍で自由に友達と会えないこの頃、人との交わりがいかに「幸せ」の源だったかをしみじみ感じます。コロナが加速してくれたリノベーションへの思い・・・です。

 

f:id:yaswatercolor:20210629173053j:plain

朝日新聞2021年6月29日のリノベーションについての記事