わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

糸島に 群れなしそびえる 学舎かな (福岡県糸島市 九大伊都キャンパス水彩スケッチ)

2017年8月

 
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福岡県糸島市に来ました。家内の家の墓掃除と墓参りのためです。博多駅から筑肥線の電車で波多江下車。そこからタクシーで田んぼの中の道を北へ、糸島半島の中を10分ほど走ると墓地のある元岡に来ます。九大の新キャンパスである伊都キャンパスがすぐ目の前です。昔からの農家が点在するなかで丘の上に九大の巨大な研究棟がいくつもそびえ立っているのが見えます。

 

九大の古いキャンパスは福岡市東区箱崎にあったのですが、福岡空港に着陸する航空機(以前は米軍機も)の飛行ルートのすぐ真下にキャンパスがあるため、長年騒音で悩まされてきました。1時間に何機も飛来する大型ジャンボ機やその他のジエット機の爆音で授業が中断されることも度々で、教授が教室で話していることが全く聞こえないぐらいの騒音でした。この騒音は工学部や理学部、農学部などの理系の研究や法学部など文系のゼミなどにも支障を与えました。また、教養部キャンパスが福岡市中心部の六本松地区にあり、学生にとってキャンパス間の移動が不便でした。そして何より、箱崎と六本松のキャンパスの建物の老朽化が問題でした。窓の戸が閉まらない、廊下の照明が暗くて足元が見えなくて怖い、トイレが古い、建物の壁がカビだらけ、学生食堂が狭くて古い。これが旧帝大かとがっくり来るような建物だらけ。それで移転計画が持ち上がり、かなり長い時間をかけて巨大な新しいキャンパスが糸島半島の中にできました。


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糸島半島は福岡市と佐賀県唐津市の間に突き出た半島で、海あり山ありの自然豊かな場所です。医学部、歯学部、薬学部は別に東区馬出地区にあり、この3つの学部は移転していません。当初、新しい伊都キャンパスは福岡市内から遠く、学生には不人気と聞きました。しかし、不便な点は急速に改善されているようです。昔は田んぼしか無かったところに、学生用のマンションや大型商業施設などが出来ています。若い人たちがどっと増えて、地域は活気づくでしょう。学生さん達も自然豊かな静かな環境で、随分気持ちがいいと思います。

 

私が大学生・大学院生だった40年前からみると全国の国立大学は随分きれいになってきました。若い頃、あこがれの東大の本郷キャンパス駒場キャンパス、京大のキャンパスに行ってみると、行く度に建物とキャンパスの汚さに唖然とした記憶があります。日本の有力大学がこれですから、地方の大学はもっとひどい状態でした。それがこの20年ぐらいで全国的にかなり改善されてきました。しかし、そうは言っても、欧米、特にアメリカの大学に比べると建物と研究施設のレベルはまだまだかなりの差があります。有名な話ですが、戦後、名古屋に来た進駐軍の若い兵士が名古屋大学のキャンパスに来て、「これが大学か、うそだろう?」と笑ったとか。戦争に負けた直後だったとは言え、日本の大学にとっては屈辱的な話です。欧米政府と日本政府の高等教育にかける力の差。この差を肌で感じるためにも若い人は欧米の大学に行ってみる価値は十分あると思います。

 

今日は、九大新キャンパスが見える淡島神社の境内から、バスを待つ間の30分で、手持ちのボールペンでスケッチをしました。着色は帰宅後にしました。

 

ウオーターフォード水彩紙 SM

ボールペン

ラウニー固形水彩絵の具

所要時間:スケッチ30分+着彩30分