わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 『空洞のなかみ』(松重 豊著、毎日新聞出版)

2021年2月5日

 

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申し訳ないのですが、普段映画や演劇をあまり見ない私は、俳優である著者の名前を見てもどんな人なのかまるで分かりませんでした。テレビでもドラマやバラエティ番組を見ることがほとんど無いので、この俳優さんに心当たりがありませんでした。本の構成は前半が短編小説、後半がエッセイ。エッセイはサンデー毎日に連載されていたもののようです。

 

全く、予備知識なしにこの本を読み始めた感想は、最初は「えー、これって一体なんだろう。不思議な世界。俳優の演技の場面がでてくるけど、夢の中の話かな」ぐらいの感じで、かなり溶け込みにくい雰囲気でした。自分が高齢者なので、若い著者の感覚や文体についていけないのかな、と思って読み進むうちに、この著者も結構な高齢であることが分かり、しかも俳優でありながら、いろいろ人生の苦労を重ねた人であることが分かり、かなり自虐的なユーモアで読者を笑わせようとしていることが分かり・・・。段々と気持ちがリラックスしてきて、本を読みながらいつの間にか笑う準備をしている自分に気が付きました。

 

私が久しぶりに出会った笑える本です。内容があるかどうか、は正直分かりません(すみません)。内容はともかく、俳優という職業がどんなものかがこの短編小説とエッセイでかなりよく分かります。私達が普段知らない新しい経験をさせてもらえる本と言えるでしょう。その意味でユニークで、個性的です。

 

松重さんがどんな人なのか、本を読んだあとで、インターネットで調べてみました。YouTubeに松重さんの出版会見のビデオがありました。どこかで見たことのあるお顔でした。福岡県出身の58歳。私も若い頃、福岡市に15年いたことがあるので、何となく親しみを感じます。私は前半の短編小説の方に、よりひかれました。