わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか?  『影との戦い ゲド戦記1』(アーシュラ・K.ル=グウィン作、清水真砂子訳、岩波少年文庫)

2020年4月6日

 

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たまたまNHK Eテレ 3月22日(日)朝5時からの「こころの時代〜宗教・人生〜」を見ていたら、清水真砂子さん(78歳)が出演しておられました。番組のタイトルは「己の影を抱きしめて」。何とはなしに見ているうちに、次第に清水さんの話に引き込まれて、結局最後まで熱心に見てしまいました。78歳なのに、分かりやすいしっかりとした話し方です。その中で、清水さんが『ゲド戦記』という有名な児童文学の翻訳者であることを知りました。私は『ゲド戦記』をあいにく読んだことがなかったので、早速第1巻を注文して読んでみました。私の読書経験の中で、翻訳者にひかれてその本を読むというのは初めてのことです。

 

原著者は、Ursula K. Le Guin (アーシュラ・K.ル=グウィン)(1929-2018) 。アメリカの女性作家でSF作家、ファンタジー作家として知られているようです。清水さんはこの『ゲド戦記』全6巻を翻訳しました。

 

魔法を使える少年ゲドが、アースシーという、多くの島が点在する地域て経験する冒険の話です。魔法を使うということが、日本人にはあまりピンと来ないと思うのですが(日本でも「ドラえもん」の世界があるといえば確かにそうですが)、西洋の空想社会では、魔法や魔法使いは頻繁に現れてくるみたいです。イギリスの児童文学「ハリー・ポッター」もそうなのでしょうか(私は読んでいません)。話はあくまで空想。ファンタジーの世界です。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在、魔法の力でこのウイルスを撃退できればどんなに素晴らしだろう、と思いながら読んでいました。話はなるほど、少年・少女がグイグイ引き込まれるほどの急展開の連続。「影との戦い」なので、何か哲学的な意味合いを考えながら読んだほうがいいのかなとも思いましたが、それは読者に任されています。翻訳にはいろいろ翻訳者の工夫があり、わかりやすい文章です。翻訳は、児童文学に強い思い入れがないと出来ない仕事だと思いました。やはり当然専門家としての視点が随所に生きています。それにしても、この原作者はここまで具体的に空想の世界を広げられるのがすごいと思います。SFやファンタジー作品にあまり詳しくない(興味がない)私にとっては、また新しい一つの読書経験になりました。

 

清水さんの講演のビデオもYouTube で見ることができます。