わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

今はソメイヨシノが満開 — ところでソメイヨシノとはどんな植物なのか?

2020年4月3日

 

今日は久しぶりの晴天です。私の住む岡山市でもソメイヨシノが満開となりました。今年は暖冬だったので、いつもの年より早く開花しました。午前中、毎年車で行っている岡山後楽園脇の旭川沿いの道を、今年も家族でドライブしてみました。旭川の河原で開催される桜まつりは、今年はコロナウイルスの流行で中止され、人影がまばらでした。

 

私達がこの時期日本中で目にする桜は、ソメイヨシノ。学名Prunus yedoensis です。名前はラテン語でつけられ、イタリック体(斜体)で表されます。

世の中の生物は全て「リンネの二名法」と呼ばれる方法で名前をつけられています。これは全ての生物を「界・門・綱・目・科・属・種」という7つの分類体系に従って分類するもので、これによるとソメイヨシノは植物界・緑色植物門・被子植物綱・バラ目・バラ科・サクラ属に属し、その学名は、サクラ属(Prunus)という属名とyedoensis という種小名の2つを組み合わせでできています。分類体系の一番下の階層である「種(species)」は、分類の基本的な単位であり、ある生物集団が自然条件下で交配し子孫を残すなら、それは同種とみなされます。現在知られている生物の種は150万以上。昆虫類が全体の半分を占めます。

 

ソメイヨシノの種小名のyedoensisという名前は、この桜が江戸末期に江戸の染井村の植木屋が売り出した桜の木から日本中に広まったことに由来しています。当時の染井村(現在の豊島区駒込)には江戸の藩邸に納める庭木を作る職人が多数住んでいて、盛んに新種の植物を作り出していました。ソメイヨシノはこのような中で作られたオオシマザクラエドヒガンザクラの雑種です。このように、ソメイヨシノは、まだそれほど長い歴史を持たない最近現れた植物です。正式にソメイヨシノ染井吉野)と命名されたのは明治33年(つまり今から120年前)。以来、日本中の役場、学校、公園、街路などに盛んに植えられて日本中に広まり、今では日本中の桜の8割以上がソメイヨシノであると言われています。挿し木や接ぎ木で木を増やす、いわゆるクローン植物の1種で、花はとてもきれいですが、実はなりません。種を植えてソメイヨシノが生えてくるわけではないのです。クローン植物であるため、ソメイヨシノは病害虫や病気に比較的弱いと言われ、寿命はヤマザクラよりかなり短めです。

 

ソメイヨシノの花は典型的な両性花です。両性花とは、1つの花の中に雄しべと雌しべをもつ花のことです。これに対して、雄しべのみをつける花(雄花)や雌しべのみをつける花(雌花)は単性花と呼ばれます。植物の花の多くは両性花です。ソメイヨシノの花を一輪ちぎって、それを開いてみると、花弁5つ、がく片5つ、雌しべ1本、雄しべ多数から出来ていることがわかります。ソメイヨシノは花の構造を見るにはとてもよい材料ですので、皆さんも是非自分の目で確かめてみてください。小学生・中学生・高校生の理科・生物の勉強にも使えます。

 

f:id:yaswatercolor:20200403175456j:plain

ソメイヨシノの花の構造