ヤブツバキ(ツバキ科・ツバキ属)
2021年3月4日
先日、地面に広がるセイヨウキヅタと一緒に描いたヤブツバキの、今日は木の上の方を描きました。あいにくまだ花は咲いていません。ヤブツバキの横に生えているのはサンシュユ(ミズキ科・ミズキ属)の木です。サンシュユは、もっと木の上の方に目をやると、小さい黄色い花を咲かせています(今日は描いていません)。
花が落ちるときにボトリと花が固まって落ちるのがツバキ、花がバラバラに落ちて地面に散るのがサザンカ(ツバキ科・ツバキ属)と、区別します。このような花の散り方から、サザンカは離弁花、ツバキは合弁花と考えがちですが、ツバキも実は離弁花です。
ツバキは縄文時代から日本人と深く関わってきた植物です。縄文時代には九州、四国、西日本はツバキなどの照葉樹林でおおわれていたと考えられています(樹木が密生して暗い藪となり、人間が住めないぐらいだったようです。事実、四国のこの時期の人口はゼロだったと言われています)。さて、ツバキは江戸時代に長崎の出島に来たオランダのシーボルトによってヨーロッパに紹介され、冬に緑や花のない寒いヨーロッパで、その常緑の葉と赤い花が大ブームを引き起こました。『椿姫』(明治維新の20年前に発表)など、小説のタイトルにも使われました。
春になって日本人がお花見をして楽しむ桜(ソメイヨシノ)は江戸時代の末に生まれて、明治時代に日本中に植えられました。日本の桜の大部分がソメイヨシノです。まだ150年ほどの歴史しかない花なのに日本の国花のように愛されています。しかし、ツバキは5千年もの長きにわたって日本人と深い関係があり、実はツバキこそが日本の国花といえるのかもしれません。
今日は午後に庭で1時間ほどスケッチしたのですが、次第に曇り空になり気温が急激に下がって震え上がりました。まだまだ本格的な春は遠いようです。
今日のスケッチ
ウオーターフォード水彩紙 F4 中目