わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

こんな本読んだことありますか? 「水彩は、たのしい  作品と技法」(大場再生著、如月出版)

2019年8月31日

 

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「絵を描く時には、技法書は見るな」とよく言われます。しかし、これから絵を始めようという時にはどうしても技法の本を見たくなります。水彩画関係でもいくつか優れた技法書があります。その中で、私が好きな本の一つがこの大場さんの本です。

 

表紙の絵は「街角のさざめき」と題された8月のスペイン・マドリードの風景です。光輝く街角。人々の賑わい。光と影を描く典型的な透明水彩画です。色をあえて塗らず水彩紙の白地を生かした大胆な光の表現。そして明るい影。本文中の文章もいい。『好きな場所との出会いは、いつも感動的です。頭で想像する以上の大きな驚きがあります。そこにしかない空気、光、におい、音、そして人々の活気や歴史の重み、この感動を描けたら何と幸せだろう、いつもそう思っています』。そして風景画に添えられている人物がとても自然。画一的でなく個性があって動きがある。なかなか真似できません。

 

最近の絵の技法書は見ていて楽しいです。自分の作品を発表しながら、そのついでに技法を紹介するというさりげなさがいいですね。水彩画は時間もお金もかからない。しかし、意外と難しくて奥が深い。鉛筆でのスケッチが好きな人なら、そこからまた一歩前に進んで水彩絵の具での彩色を楽しんでみてください。やがて色のマジックのとりこになることでしょう。