わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

春やよい 暖かさがマーチで やってくる (岡山市北区 吉備津彦神社)

2018年3月
 
弥生3月。暖かくなりました。日差しが明るくて、まぶしいほどです。自転車で吉備津彦神社までやって来て、神社の前を流れる農業用水を入れて神社の北西にある大鳥居を近景に、神社正面の鳥居を遠景に、横長に描きました。あまりに日差しが強いので、今年になって初めて透明サングラス着用。周囲の光や、白い紙の表面からの照り返しがかなりやわらぐ気がします。

イメージ 1

 
3月は弥生。この古い呼び名(陰暦3月)の意味は、「いよいよ(弥)草木が芽吹く(生)」にあるそうです。分かりやすいです。一方英語で3月はMarch。行進のマーチ (march) と同じつづりですが、こちらはローマ神話の軍神Marsマルス)が語源です。Mars(発音はマーズ)は天文学では火星を示すので、3月と火星が何か関係があるのかなと思ってインターネットで調べてみると、「3月10日早朝4時頃に南東の空の月に火星が大接近して見える!」そうです。そうか、こんなすばらしい天体ショーがあるんですね。
 
今日は、いつものように自転車のサドル(座イス)に水彩紙とそれを支える台紙を置いてスケッチ開始。初めは、こんなところを描いて本当に絵になるだろうか、と思いながらスタートしたのですが、描き進めるうちに気持ちがだんだん乗ってきました。神社の風景なので典型的な日本の風景のはずなのですが、周囲の家屋を描いているうちに、なんだかセザンヌの描いた南仏の風景のような雰囲気になってきました。今日使っている紙がフランスのアルシュ紙のせいでこうなったのではありません。次第に日本の一般家屋のスタイルが欧米化してきて、古い神社の周辺もまるで南仏の風景みたいになったりします。特にオレンジ色の屋根や肌色の壁などはとても欧風です。したがって出来上がった風景画は、知らない人が見ると日本の風景なのかヨーロッパの風景なのか分からなくなったりします。こんなところにもグローバル化の影響が現れているのでしょうか。そう言えば私が好きな倉敷の町だって、古い町並みの中に立つ沢山の南欧風の建物(市役所や倉敷中央病院)で全体の街の調和がうまく取れています。厳密に考えたら、何が残すべき大事な景観なのか分からなくなってきます。江戸時代と南仏がごちゃ混ぜでも特に違和感を感じなくなっています。
 
少し風が冷たくなり、2時間ほどでスケッチを切り上げて、また自転車で帰りました。帰り路で狭い山道を自転車でよろよろ登っていると、後ろからきれいな黄緑色の小型車が砂ぼこりをあげながらかなりのスピードで追い抜いていきました。ちょっと飛ばし過ぎだなあと思って見ると、日産のマーチでした。マーチも3月も、あまり飛ばさないでゆっくり行こうね。春は駆け足で目の前を行き過ぎていきます。


イメージ 2

 
アルシュ水彩紙 粗目 横長変形(4号)
青墨筆ペン
ウインザー&ニュートン固形水彩絵の具
所要時間:2時間