わたしの水彩スケッチと読書の旅

どこまでも、のんびり思索の旅です

雪空に 羽広げたる 白鷺城 (兵庫県姫路市)

2018年1月


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グループで姫路城に来ました。昨日から日本列島は猛烈な寒波に見舞われ、今日のスケッチの開催が危ぶまれましたが、それでも5名が参加。姫路行きのJR岡山駅新幹線ホームでは、皆さん、「たとえ一人でもスケッチするつもりで来た」と言われていて、それぞれ気合十分でした。明け方の気温が零下、最高気温が3,4℃という寒さだと、やはり相当やる気がないとスケッチには参加しないと思います。今日来られた皆さんの意欲に拍手です。
 
姫路城に来てみると、内堀の水がこの寒さで凍っていました。多分こんなことは温暖な瀬戸内地方では珍しいことだと思います。空は晴れて風がなく、意外と寒さを感じませんでしたが、時折うすい雪雲がかかり、雪がハラリハラリと空から降ってくる場面もありました。今日は正面の大手門から入って、スケッチポイントを探して天守閣のまわりをかなり歩きまわり、最終的には天守閣を南東側から見る位置に腰を落ち着けてスケッチを始めました。1月初めに下見に来た時には天守閣の北側から描いたので、今回は正面側です。陽も当たって気持ちよいスケッチのスタートです。

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今日はイーゼルを短めに立てて、その上に水彩紙を置いて、座ってスケッチを始めたのですが、寒さ対策で沢山衣類を着込んで来たせいで、腕を水平位置まであげて描いているうちに次第に腕と肩がだるくなり始めました。考えてみると、今日は上は下着が半袖、長袖1枚づつを重ね着にし、その上にウールの長袖シャツ(俗に言うラクダシャツ)を今シーズン初めて着て、その上にハイネックのカシミヤセーターを着て、その上に普通のウールのセータを重ねて、最後にダウンジャケントを着ていました。これじゃあ腕が上がらないはずです! 防寒体制は万全ですが、着ぶくれて絵が描けないのではお話になりませんね。下も似たような感じの厚着。靴下は2枚履きで足が蒸れそう。それに毛糸の帽子とウールのマフラーと手袋。外はとても寒いのに、内は蒸し暑いという不思議な感覚。たまらずマフラーを取って、イーゼルから水彩紙をはずして膝の上に置いて、楽な姿勢になって描きました。
 
今日使った水彩紙はアルシュの粗目。鉛筆の下書きの時に、鉛筆が紙の表面のデコボコの抵抗にあって心地良いのですが、調子に乗って鉛筆の線を重ねているうちに、次第に線が濃くなりました。次に筆ペンで線描きをして、その後に初めの鉛筆の線を消しゴムで消すのですが、その作業が大変でした。粗目の水彩紙のため鉛筆の線がなかなか消えてくれません。お城を鉛筆で下書きしていて、つい気合が入ってしまいました。今日はこのお城の構造がやはり大事だからです。しかし、ここにあまり力が入りすぎるとお城が重くなり、他とのバランスが取れません。いつも全体を眺めながら、一つの所だけに集中しないように気をつける必要があります。私の大好きな赤瀬川原平さんの書いた本(「赤瀬川原平の名画読本」(光文社))によると、『(絵の)中心部の密なところよりも、そこを離れてタッチのおおまかになったところのほうに、その画家の息づかいのようなものがじかに感じられる』ということです。画面の端の周囲の部分の描き方で、絵が生き生きとしたり、その逆に沈み込んだりするのでしょう。大事なことです。

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スケッチが終わり、参加した5人と、通りがかりの見物の人と一緒に姫路市立美術館前で講評会をしました。皆さん、とてもいい絵が描けていました。寒い中を姫路城までやってきた甲斐がありました。その後、全員で近くの商店街の中のレストランで昼食を食べた後、私は姫路市立美術館の作品を見て帰りました。クロード・モネの「ル・プティ=ジュヌヴィリエにて、日の入り」がとても良かったです。私の好きなシスレーの風景画もありました。

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帰宅後、こんな寒い日だったのにひどく喉が乾き、夏から自宅の冷蔵庫に置き忘れてあったポカリスエット1本を一気に飲み干してしまいました。携帯の歩数計を見たら、今日は15,807歩も歩いていました。



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アルシュ水彩紙 粗目 F6号
青墨筆ペン
ウインザー&ニュートン固形水彩絵の具
所要時間:2時間30分